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まもなく電車が出現します [日本の作家 似鳥鶏]

まもなく電車が出現します
似鳥鶏
創元推理文庫

まもなく電車が出現します (創元推理文庫)

まもなく電車が出現します (創元推理文庫)

  • 作者: 似鳥 鶏
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2011/05/28
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
芸術棟が封鎖され、困ったクラブや同好会が新たな棲処を探し始めた。美術部の僕は美術室に移動して、無事作品に取り掛かれるかと思いきや、美術部の領地と思しき開かずの間をめぐる鉄研と映研の争いに、否応なく巻き込まれてしまう。しかし翌日、その開かずの間に突如異様な鉄道模型が出現!?表題作を含む五編収録の、山あり谷ありで事件に満ちたコミカルな学園ミステリ短編集。

「理由(わけ)あって冬に出る」 (創元推理文庫)
「さよならの次にくる <卒業式編>」 (創元推理文庫)
「さよならの次にくる <新学期編>」 (創元推理文庫)
に続く新作です。帯には「にわか高校生探偵団」というフレーズがありますが、このシリーズ、そう呼ぶんですね、知りませんでした。
学校を舞台に、作風としてはいわゆる「日常の謎」に属します。このタイプでは、米澤穂信(「氷菓」 (角川スニーカー文庫)を第1作とする「古典部」シリーズや「春期限定いちごタルト事件」 (創元推理文庫)を第1作とする「小市民」シリーズが該当します)が代表的な作家ではないかと思いますが、似鳥鶏は、米澤穂信とは違ったテイストで展開していて、コミカル、とあらすじには書かれていますが、ドライというか軽やかな味わいを、主人公の葉山くんが醸しているのが特徴だと思います。おそらく、葉山くんが、事件に対して、巻き込まれていても、いい意味で余裕があるというか、一定の距離感を持って語っているのがポイントなのだと思います。葉山くんに彼女ができた!という最終話の「今日から彼氏」などにもよくあらわれているのではないでしょうか。
謎とき、としてみると、とても小粒なものばかりですが、この舞台にはぴったりですし、欠点として捉えるのではなく、このシリーズの雰囲気にマッチした長所として積極的に受け止めたいです。
葉山くん(美術部)と、先輩の柳瀬さん(演劇部)の、友達以上恋人未満ならぬ先輩・後輩以上恋人未満な掛け合いがいつもの読みどころですが、最終話の「今日から彼氏」を受けて、次作ではどんな雰囲気になるのか、楽しみです。

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