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刑事さん、さようなら [日本の作家 樋口有介]

刑事さん、さようなら
樋口有介
中央公論新社

刑事さん、さようなら

刑事さん、さようなら

  • 作者: 樋口 有介
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2011/02/24
  • メディア: 単行本



<帯から>
この手が汚れても、かまわないと思った。
首を吊った警官、河原で殺された風俗ライター。
二人をつなぐ“女A”を追い続ける警部補が行き着いたのは、 寂れた歓楽街の焼き肉屋だった。
「善人の罪科」と「悪人の正義」が交錯する、美しくも哀しき愛の物語。
警察組織の歪みに迫る最新書き下ろしミステリー

単行本です。
樋口有介は大好きな作家です。特に、中高生を主人公にしたものは、いつも素晴らしいと思っています。好みにぴったりです。一方で、柚木草平シリーズや木野塚シリーズなどは、おもしろいとは思いますが、個人的にはちょっと差があります。なので、この2つのシリーズは文庫本になるまで待つのですが、それ以外は単行本で買おうと思っています。
この作品は、視点が須貝警部補と、焼き肉屋の店員良男で、中高生ではありませんので、さて、どうかな、と思いつつ読み進めました。どちらサイドも、暗い話が多いので、樋口さんの語り口の軽さは、大いなる救いです。
ミステリであれば当然、二つの視点から語られるストーリーがどう結びつくのか、と想像して読むわけですが、なかなか交わりません。ようやく交わったかな、と思ったら、急にストンと終わりが訪れて、びっくりしました。残りのページ数からいっても、たしかに終わらせないといけないんだけど、どう収拾するのかなあ、なんて思っていたら、樋口さん、今度はこう来ましたか、という感じです。似たような前例はいくつか思いつきますが、切れ味よく決まっていると思います。
2つの視点が、世間ずれした大人の事情満載の須貝警部補のパートと、(英語本来の意味に近い)ナイーブな良男のパートと、鋭い対比を見せているのも、妙に落ち着いた、ある意味ほのぼのテイストのラストシーンも、良男のキャラクターがあればこそ。「月への梯子」(文春文庫)を彷彿とさせるような良男の設定も、このための計算のうちでしょう。切れ味を支えています。
というわけで、おもしろく読みました。でも、また中高生を主人公にした話を書いてください、と作者にはリクエストしたいです。

ところで、帯の紹介文、ぎりぎりではないでしょうか?
ミステリの帯としては、ちょっと明かしすぎかと思われます。ここの冒頭に引用しておいていうのもなんですが。

<2014.1追記>
文庫化されていました。
書影を。


刑事さん、さようなら (中公文庫)

刑事さん、さようなら (中公文庫)

  • 作者: 樋口 有介
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2013/12/20
  • メディア: 文庫



タグ:樋口有介
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