SSブログ

道具屋殺人事件 [日本の作家 愛川晶]


道具屋殺人事件 (神田紅梅亭寄席物帳) (創元推理文庫)

道具屋殺人事件 (神田紅梅亭寄席物帳) (創元推理文庫)

  • 作者: 愛川 晶
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2010/07/22
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
亮子の夫は落語家・寿笑亭福の助。彼と出会うまで落語と縁のなかった亮子も、最近では噺家の女房らしくなってきた。師匠の山桜亭馬春が脳血栓で倒れてしまって以来、寿笑亭福遊に師事している福の助だが、前座の口演の最中に血染めのナイフが高座で見つかり、大騒動になったことを馬春に相談したところ……。落語を演じて謎を解く!珠玉の三編収録の本格落語ミステリ集第一弾。

神田紅梅亭寄席物帳シリーズ第1作。
このあと、シリーズは、「芝浜謎噺」 (創元推理文庫) 「 うまや怪談」 (ミステリー・リーグ) 「三題噺 示現流幽霊」 (ミステリー・リーグ) と快調に書き続けられています。
このシリーズのなによりの特徴は、落語そのものをミステリとしての謎として取り扱っているところにあります。
ある程度特殊な世界を舞台にしたミステリは、単に物珍しい背景として使っているだけのものというのもありますが、事件を解くためのヒントがその特殊な世界である、あるいは、その特殊な世界だからこそその事件が起こった、というのが大抵だと思います。
このシリーズはそれを超えています。
たとえば、落語のネタをどう演じるか、というのがミステリの中心になるということなど想像したことはなかったのですが、このシリーズはそれを成し遂げているのです。
もちろん、通常のミステリで扱われるような謎も取り扱っていて、落語の謎と通常の謎とが同時に解ける、しかも、それぞれが関連する形で、という非常に贅沢な趣向が毎回凝らされています。凄い。
落語そのものが謎なわけですから、落語のネタもきちんと紹介されています。落語はまったくの門外漢なので、落語の謎のパートが専門の方からみて独創的か、妥当なのか、というのはわかりませんが、素人ながら、まさにハタと膝を打つ、ような感じは受けました。したがって、落語を知らないからといって臆する必要は全くありません。おそらく、素人は素人なりの、玄人は玄人なりの、楽しみのできる作品になっているのではないでしょうか。
シリーズの続きをしっかりフォローしていきたいと思います。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0