SSブログ

プリンセス・トヨトミ [日本の作家 ま行]


プリンセス・トヨトミ (文春文庫)

プリンセス・トヨトミ (文春文庫)

  • 作者: 万城目 学
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2011/04/08
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
このことは誰も知らない――四百年の長きにわたる歴史の封印を解いたのは、東京から来た会計検査院の調査官三人と大阪下町育ちの少年少女だった。秘密の扉が開くとき、大阪が全停止する!?万城目ワールド真骨頂、驚天動地のエンターテインメント、ついに始動。特別エッセイ「なんだ坂、こんな坂、ときどき大阪」も巻末収録。

「鴨川ホルモー」 (角川文庫)「鹿男あをによし」 (幻冬舎文庫) に続く、万城目です。
「鴨川ホルモー」 が京都、「鹿男あをによし」が奈良で、今度は大阪が舞台です。
映画化もされたので、みなさんよくご存知かもしれません。--為念、ミステリではありません。
相変わらずの馬鹿馬鹿しさで(誉め言葉です)、たっぷり楽しめます。今までで一番分厚いですし。
古(いにしえ)から怪しげなもの(?)を伝え守っている、という点はいままでと同じなのですが、京都と奈良の場合は、クローズドサークルというか狭い範囲で秘密(?)を守っているという構図で、京都・奈良ならさもありなん、というか、ありえるかも、というところがあったのですが、大阪はなんと大阪全域。
こんな広範囲で秘密を守りぬけるとは思えないのですが、この破天荒さも大阪らしい、ということでしょうか?
一方で、京都・奈良のような、人ならぬもの、は登場せず、秘密そのものも人間ならではのものになっているのも、舞台が大阪であることの反映?
今までの作品は、その秘密の世界にぽーんと放り込まれた人物の視点で物語が進みましたので、ある意味あれよあれよと一直線に語られていたのですが、今回は、大阪対会計検査院調査官という構図を作り、秘密を外から暴いていく、という展開です。同時に、大阪内部の視点も設定されているのですが、これが少年であって、秘密はこれから知らされるパターン。つまり読者は、大阪の抱える秘密を、内と外、両方から、じわりじわりと知っていく趣向です。これをまどろっこしい、テンポが悪い、と取るか、新しい手法に挑んだ作者に拍手を送るか、読む人によって評価が分かれるかもしれません。
この秘密は、外からのアプローチがあってこそ真価を発揮する、というか、輝くものだと思うと同時に、外からの視点だけでは秘密の内情が伝わりにくい性質でもあると思いますので、少々スピード感を犠牲にしても、両方の視点で物語っていく手法がよかったと支持しておきたいです。
しかし、この作品、直木賞候補だったのですね。さすがにそういう作品ではないと思うのですが...


タグ:万城目学
nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0