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吉原手引草 [日本の作家 ま行]


吉原手引草 (幻冬舎文庫)

吉原手引草 (幻冬舎文庫)

  • 作者: 松井 今朝子
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2009/04
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
廓遊びを知り尽くしたお大尽を相手に一歩も引かず、本気にさせた若き花魁葛城。十年に一度、五丁町一を謳われ全盛を誇ったそのとき、葛城の姿が忽然と消えた。一体何が起こったのか? 失踪事件の謎を追いながら、吉原そのものを鮮やかに描き出した時代ミステリーの傑作。選考委員絶賛の第一三七回直木賞受賞作。 待望の文庫化。

直木賞受賞作の時代小説ですが、ちゃんとミステリです。
たとえば...吉原からの花魁の失踪というと、一種の不可能犯罪となりますが、そういうトリックを追求する作風ではないものの、現実的な解決です。と同時に斬新なトリックとはいかないけれど、そのときの状況も想像してみれば、かなり絵になる、というか、ミステリマインドをくすぐるように思います。
とはいえ、あらすじにも書いてあるとおり、この作品の主眼は失踪事件そのものに加えて、吉原を描き出すことにあります。吉原のさまざまな職業の人のインタビュー形式で、失踪事件を追及しつつ、吉原が全体として浮かび上がってくる趣向です。すっかり吉原に詳しくなった気分になれます。
そしてラスト、「詭弁 弄弁 嘘も方便」というタイトルの最終章で、何人かが再度語り手として登場し、一気に解決を迎えます。この転調ぶりこそがミステリとしての最大の見所かと思います。同時に、この作品の趣向ともなっていまして「ちゃんとミステリ」というゆえんです。
今後とも、ミステリを意識した時代小説-特に捕物帳などのシリーズものではないもの-を書き続けてほしいです。




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まっきー☆

時代物が好きなワタシとしては、とても興味あります。 しかも花魁のお話は、とても好き!! これは一読の甲斐ありそうですね。
by まっきー☆ (2011-10-16 20:19) 

31

まっきー☆ さん ご来訪&コメントありがとうございます。
返信遅くなり恐縮です。

この本を読むと、花魁というのは才色兼備のマルチタレントというか、スーパースターだったのだなぁ、と感じ入りました。
凛々しいことこの上なし。

ミステリという枠を気にされずとも、十分におもしろいのではと思います。
by 31 (2011-10-18 00:01) 

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