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丸太町ルヴォワール [日本の作家 円居挽]


丸太町ルヴォワール (講談社BOX)

丸太町ルヴォワール (講談社BOX)

  • 作者: 円居 挽
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2009/11/05
  • メディア: 単行本


<箱裏面あらすじ>
祖父殺しの嫌疑をかけられた城坂論語は、変幻自在の論客が丁々発止の応酬を繰り広げる私的裁判“双龍会”の被告となる……容疑を解くためではなく、事件当日、屋敷の一室で二人きりの甘く濃密な時間を過ごした謎の女性“ルージュ”と再会する、ただそれだけのために……。

単行本です。というよりは講談社BOXです、と言うべきでしょうか?
「2011本格ミステリ・ベスト10」 (原書房)第8位。「このミステリーがすごい! 2011年版」 では11位でした。
作者は京大のミステリ研出身ということで、ミステリらしいトリックやギミックがわんさか盛り込まれています。そのあたりは、私設法廷「双龍会」での裁判シーンが見せ場です。この法廷は、実際の裁判とは違うので、相手を論破しさせすればよいというもので、証拠のでっちあげもOK。そのため、真相などどうでもよいわけで、かなりダイナミックなやりとりが可能で本書を特徴づけていると思います。
しかし、この作品の最大のポイントは、第1章で描かれるボーイ・ミーツ・ガールとその顛末です。謎の女性“ルージュ”の正体についても、ミステリの技巧が惜しげもなく(?) 投じられ、裁判シーンすらこれに奉仕しています。ルヴォワールとアデューを対比させるのも気が効いていると思いました。個人的にはラストシーンはなかなか印象的でいいと思います。
かなり癖のある第1章の文章ややりとりを受け入れられるのであれば、という条件付ではありますが、お勧めします。講談社BOXというレーベルで避けてしまうにはもったいない質は備えていると思いました。


<2014.04追記>
2012年09月に文庫化されています。

丸太町ルヴォワール (講談社文庫)

丸太町ルヴォワール (講談社文庫)

  • 作者: 円居 挽
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2012/09/14
  • メディア: 文庫




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