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天才たちの値段 美術探偵・神永美有 [日本の作家 門井慶喜]


天才たちの値段―美術探偵・神永美有 (文春文庫)

天才たちの値段―美術探偵・神永美有 (文春文庫)

  • 作者: 門井 慶喜
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2010/02/10
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
一枚の絵が「もし贋物なら、見た瞬間、苦味を感じ、本物なら甘みをおぼえる」という天才美術コンサルタント・神永美有(かみながみゆう)が、短大の美術講師・佐々木昭友と二人で鑑定にまつわる五つの難題に挑戦。ボッティチェッリ、フェルメールから江戸時代の涅槃図まで、古今東西の名品たちが問いかける。美術とは何か?

それぞれ美術品を題材に取った短編5編からなる連作集です。
門井さんの本を読むのは初めてですが、おもしろかったです。気になる作家が増えてしまいました。
各話そんなに長くないのに、重層的な展開をみせるところがとってもGOODです。
美術品関係の謎や課題が提示されて、苦労して、あるいはひらめきを得て、佐々木が回答を導き出した...と思ったら神永がプラスアルファをもたらして物語をしめる、というパターンです。
なんとか神永を見返してやろうと佐々木ががんばっても、やっぱり神永が上手、っていうところが、ちょっとかわいそうながらおかしい。
このシリーズの特徴は、なにより、探偵役の神永が舌で真贋ががわかってしまうという特殊能力(?)を持っているところにあります。対象となる美術品が出て来る冒頭で真贋が分かってしまうわけです。ぼくの凡庸な頭では、結論があらかじめわかっているとなると物語の幅が狭まってしまって、読む側の楽しむポイントが1つ減ってしまうように思うのですが、まったくそういうハンデ(?)を感じさせないバリエーションを見せてくれます。かえって、このハンデを今回はどう乗り越えるのだろう、というのを気にかけながら読むという楽しみが出てきています。
続編が楽しみです。
ところで、ネット上では、難読文字・熟語が多くてだめ、という意見が散見されますが、美術ミステリは蘊蓄系ですし、語り手が大学の先生でインテリ(笑)であることを考えると、普通使わない単語が出てきてもおかしくはないし、指摘されている漢字を確認しても、そんなに難しい語は出てきていないと思います。この程度でもだめなんでしょうか?
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