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真説ルパン対ホームズ 名探偵博覧会Ⅰ [日本の作家 芦辺拓]


真説ルパン対ホームズ―名探偵博覧会〈1〉 (創元推理文庫)

真説ルパン対ホームズ―名探偵博覧会〈1〉 (創元推理文庫)

  • 作者: 芦辺 拓
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2005/09
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
一九〇〇年、十一年ぶりの万博に沸き返るパリ。身に覚えのない窃盗の罪を着せられた若き日のアルセーヌ・ルパンは、己が名誉を守るべく真犯人を捜し出す決心をする。時同じくしてパリを訪れたのは、かの偉大なるシャーロック・ホームズ! 怪盗と名探偵が密室から消失した仏像の謎と盗まれたフィルムの行方に迫る。古今東西の名探偵が難事件に挑む、傑作揃いのパスティーシュ集。

さすがは芦辺拓といいたくなるような凝りに凝ったパスティーシュ集です。中には「空中の賊」のように凝りすぎて、黒岩涙香ばりと思われる昔の文体で書かれたものまであって、さすがにこれは読みづらかったですが、その他は登場する探偵たちも豪華絢爛。とても楽しかったですね。苦労も多かったでしょうが、作者も楽しんでおられたのではないでしょうか?
他人の作品の登場人物を競演させるのは結構むずかしいと思います。
オリジナルは他人の創作物ですから、あまり勝手なことをさせることはできません──たとえばルパンは江戸川乱歩の「黄金仮面」 (創元推理文庫)に登場させられていますが、通俗的で面白い作品になっているとは思うものの最後の最後でぶち壊すようなエチケット違反があって個人的には「黄金仮面」 を推す気になりません。勝手なことをさせるのはやはりだめだと思います。
また、あちらを立てれば、こちらが立たず、どちらかに花を持たせてしまうわけにもいきませんし、かといって引き分けというのもあまり冴えません。
そもそも、「真説」のつかないモーリス・ルブランが書いた「ルパン対ホームズ」 (新潮文庫)(創元推理文庫ではタイトルの表記が違って「リュパン対ホームズ」です)からして、ホームズ派(?)からは不満があがっています(フランス本国では、ルパンの相手はホームズではなく、エルロック・ショルメスと変更されていて、ルパンとしているのは日本など一部の国だと作者のあとがきに書いてあります)。
さて、この作品はそこらへんをどう処理したか? なかなかエレガントな手法だと思いました。これなら、「真説」とつける意味もよくわかります。
日本がらみの事件を解く、というのは日本人作家が書いたが故のご愛嬌で、これも楽しく読んだ一因ですが、ポイントとなる部分がある乱歩賞・直木賞作家の某作品を思い出させたのも興味深いですね。
その他の作品も、ファイロ・ヴァンス、チャーリー・チャン、鬼貫警部、星影龍三、明智小五郎などなど一部を紹介しただけでもこのメンバーです。
ミステリファンなら、特にクラシック・ミステリが好きな人なら、おすすめです。「七つの心を持つ探偵」みたいな悪ふざけもきっと楽しめます。
ところで、最後の「百六十年の密室──新・モルグ街の殺人」だけがパスティーシュでないのが不思議です...

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