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解雇通告 [海外の作家 は行]


解雇通告〈上〉 (新潮文庫) 解雇通告〈下〉 (新潮文庫) 解雇通告〈下〉 (新潮文庫)
  • 作者: ジョゼフ フィンダー
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2008/01/29
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
仕事優先、家庭を顧みぬまま地元の大企業のCEOにまで上り詰めたニック。しかし、同業他社の中国への移転により業績は悪化、大株主の投資ファンドからは従業員5000人の解雇命令が。従わなければ会社は身売り? 社内では孤立、家族からは疎まれ、外を歩けば敵意の的となったニックが苦悩するなか、解雇した元従業員の変死体が発見された――。“会社人間”必読の企業サスペンス。 <上巻>
発見された変死体の捜査は意外な方向へ。一方、会社の身売りは刻々と現実味を帯び、社内での風当たりも増すばかり。さらに部下の最高財務責任者が、ニックに無断で不審な言動を見せ始めた。あげく息子は学校で問題を起し退学処分の危機に。このままでは愛する家庭も大切な会社も失ってしまう。窮地のニックは、ついに反撃に出るが……。バリー賞最優秀サスペンス賞ほか各賞受賞! <下巻>

ジョゼフ・フィンダーは、「侵入社員」〈上〉〈下〉(新潮文庫) というちょっとふざけたタイトルの前作(原題は「Paranoia」なので訳題のヒットですね!)がかなりおもしろく、この本も手に取ることに。
ジャンルとしては何になるのでしょうか? 解説では企業サスペンスという用語がつかわれています。
アメリカを代表するオフィス家具メーカーのCEO(経営責任者)が主人公で、企業城下町に君臨する企業のCEOなんて縁遠い存在なのですが、このニックが好感が持てる人物に設定されているのがまずよいところです。立場はともかく、かなり身近に感じます。
このニックを取り巻く状況がかなりつらい。会社の状況が芳しくなくやむなく5千人(!)のレイオフを実施したところ、「首切りニック」なんてありがたくない名前で呼ばれて街では嫌われ者に。さらに、会社の大株主であるファンドから送り込まれた人物とニックの部下である(はずの)CFO(財務責任者)を中心にどうも不穏な動きが...
一方家庭は家庭でたいへんで、妻を前年事故で亡くしたばかりで、長男は反抗するは学校で問題は起こすは。
セキュリティがしっかりしているはずの自宅に侵入者が来て、飼い犬が殺されてしまう。どうやらレイオフの対象となった社員のしわざらしい。
この先のあらすじを紹介してもよいのかどうか迷いますが、ともかく事件が起き黒人の女性刑事オードリーが捜査することに。ニックとオードリーの二つの視点で物語は展開し、読者はニックの立場に立って、さて、ニックは窮地を脱出できるのか、はらはらどきどきできます。
企業まわりのエピソードも、最近(といっても随分たちますが)の傾向を反映したものですし、最後の方の展開でキーとなる事項もイメージ先行ではありますが、さもありなんという感じがするあたり、大衆向けのエンターテイメントとしてよくできているな、と思いました。
次作も入手済みですので、必ず読みます。日本企業が舞台らしいので期待しています。
ところで、上で引用したあらすじは、かなりいい加減というか、間違っているというべきレベルのものですので、ご注意を(じゃあ、引用するな!ってもんですが...)

<あとで追記(2012/02/19)>
“キュービクル”を小部屋と訳してあるのはさすがに違うと思います。デスクを仕切ってあるだけで、部屋にはなっていません。...かといって、うまい訳語は思いつきませんが。
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【激ナイス!】この記事ホンマモン

あらすじを読ませていただいて
興味が出ました^^
ありがとうございます!
今読んでいる本を読破したら
読んでみたいです!
貴重な記事を読ませていただいて
ありがとうございました。
また更新を楽しみにしています。
by 【激ナイス!】この記事ホンマモン (2012-02-15 14:45) 

31

【激ナイス!】この記事ホンマモン さん、neci!&コメントありがとうございます。
ジョゼフ・フィンダーはおもしろいと思っているのですが、世間的には(?)あんまり売れていないようで残念です。
【激ナイス!】この記事ホンマモン さんにも、ぜひ頼んでいただけたら、と思います。
by 31 (2012-02-18 11:51) 

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