SSブログ

明智左馬助の恋 [日本の作家 か行]


明智左馬助の恋〈上〉 (文春文庫)明智左馬助の恋〈下〉 (文春文庫)明智左馬助の恋〈下〉 (文春文庫)
  • 作者: 加藤 廣
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2010/05/07
  • メディア: 文庫

<裏表紙あらすじ>
後醍醐天皇から錦旗を賜った祖先を持つ三宅弥平次はその出自を隠すべく、明智家の養子となって左馬助を名乗り、信長方についた主君とともに参謀として頭角を現すようになる。秀吉との出世争い、信長の横暴に耐える光秀を支える忠臣には、胸に秘めたある一途な決意があった。『信長の棺』『秀吉の枷』に続く本能寺三部作完結編。 <上巻>
「愛宕山に詣でて、戦勝祈願のために一夜参籠する」。朝廷との密会を重ねる光秀の暴走を止められない左馬助。そして本能寺の変――。大ベストセラーとなった本格歴史ミステリー長編は、すべての謎を解き明かしながら、明智家の壮絶な「死の門出」で終局を迎える。宴を彩る「落城の譜」の調べ、そして左馬助と綸が貫いた真実の愛とは。 <下巻>

あらすじにも書かれていますが、「信長の棺」〈上〉〈下〉 (文春文庫)「秀吉の枷」〈上〉〈中〉〈下〉 (文春文庫)に続く、シリーズ最終作です。
戦国時代に詳しくないので、正直タイトルにもなっている主人公明智左馬助を知らなかったのですが、光秀の家来なのですね。かなり地味なポジションの人を選んだなあ、と思いましたが、光秀そのものを主人公&視点に据えるよりも、広がりや奥行きが出たのかもしれません。
作者があとがきで「一つの謎は三つの方向から追うのがいい」と述べ、「三次元自動焦点(トライアングルオートフォーカス)」と呼んでいる手法で書かれたこの本能寺三部作ですが、確かに、重層的に信長の死(およびそれまでの経緯)が取り上げられていて、第三作目であるこの「明智」になると、「この事件の裏ではあいつがこういうことをしていたのだな」「あの事件の意図はこうだったのだな」と、前二作に描かれていたことが思いだされて、楽しみが広がったような気がします。
それにしても、信長というのはやはり強烈な人物だったのですねぇ。光秀にせよ秀吉にせよ、信長の呪縛に捕らわれているように思えてなりません。
信長をめぐる部分以外では、この作品では、やはり明智左馬助のキャラクターですね。戦国時代というきわめて不自由な時代に(当時はそれが普通だったのかもしれませんが)、それでも精一杯誠実に生きている姿はなかなか印象的です。
ところで、本能寺の変について「天正十年(1587年)」という記載があるのですが、天正十年は1582年かと思います。あれ? 最後の安土城のシーンで明かされることと何か関係があるのでしょうか? ご存知の方がいらっしゃったらぜひご教示ください。

nice!(6)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 6

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0