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初恋ソムリエ [日本の作家 初野晴]


初恋ソムリエ (角川文庫)

初恋ソムリエ (角川文庫)

  • 作者: 初野 晴
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2011/07/23
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
廃部寸前の弱小吹奏楽部を立て直し、普門館を目指す高校2年生の穂村チカと上条ハルタ。吹奏楽経験者たちに起きた謎を解決し入部させることに成功していた2人だったが、音楽エリートの芹澤直子には断られ続けていた。ある時、芹澤の伯母が高校にやって来た。「初恋研究会」なる部に招待されたのだという。やがて伯母の初恋に秘められた、40年前のある事件が浮かび上がり……(表題作より)。
“ハルチカ”シリーズ第2弾!

「退出ゲーム」 (角川文庫)に続くシリーズ第2弾です。「退出ゲーム」 の感想はこちら
連作短編なのですが、まず、この本のラストを飾っています、表題作ともなっている「初恋ソムリエ」 。タイトルがいいですよね。
ソムリエと言ったら、食事や好みにあわせてぴったりのワインを選んでくれるお仕事。初恋のソムリエって、なんだか素敵な初恋を演出してくれそうな、そんな気配。実態は...
初恋研究会とかを作っていて、初恋の真贋を鑑定するのだとか。「当時の状況を正確に再現する。記憶から、誇張や歪曲をという要素を取り除いた、純粋な情報のみを抽出して鑑定する」(P243) そして、「初恋は嗅覚によって生まれた感情だと仮説を立て」(P245)、「その匂いを再現して、顧客に嗅いでもらう」(P245) というお仕事(?)らしい。ちょっと予想とは違いました。これは、「ソムリエ」と呼ぶものではないと思うのですが...
というわけでタイトルに惹かれて読むと、あれれ!? となりますが、中身のほうは、ぽーんと遠い場所へ連れて行ってくれる初野晴の本領発揮、ここに着地しますかぁ、というところを目指してミステリが成立しています。
第1話「スプリングラフィー」こそ、学園ミステリらしい出だしで、学園ミステリらしい着地となりますが、第2話「周波数は77.4MHz」も、第3話「アスモデウスの視線」も、学園ミステリからすっとスライドしたかのような地点にたどり着きます。特に「アスモデウスの視線」は1ヶ月の間に3回も席替えをしたクラスの謎、という学園ミステリならではの謎を出発点に、学園からはみ出さないのに、それでいてずれた着地を見せるという、なかなか興味深い作品になっています。
吹奏楽部のメンバー集めも着実に進んでいるようですし、シリーズの進展に期待します。



<蛇足>
やっぱりこのシリーズの目次のページ、バランスが悪くて気になるのですが...

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