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リガの犬たち [海外の作家 ま行]


リガの犬たち (創元推理文庫)

リガの犬たち (創元推理文庫)

  • 作者: ヘニング マンケル
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2003/04
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
スウェーデン南部の海岸に、一艘のゴムボートが流れ着いた。その中には、高級なスーツを身につけた二人の男の射殺死体が抱き合うように横たわっていた。彼らはいったい何者なのか? どうやら海の向こう、ソ連か東欧の人間らしいのだが……。小さな田舎町の刑事ヴァランダーは、この国境を超えた事件に思いもよらぬ形で深入りすることになるのだった! 注目のシリーズ第二弾。

「殺人者の顔」 (創元推理文庫)に続き刑事ヴァランダーが主人公をつとめるシリーズの第2作で、帯にも「北欧警察小説の金字塔」と書いてあります。
しかし、読んで受ける印象は、警察小説ではありません。
ヴァランダーはスウェーデン南部の田舎町のイースタ警察の刑事で、その捜査活動を描くので、その意味では警察小説と言ってもよいとは思うのですが、前作「殺人者の顔」 のときも、小さな田舎町の事件かと思っていたら、背景の非常に大きい、国際問題に近いネタが仕込まれていて、スケールのギャップに驚いた記憶があります。
この「リガの犬たち」でも、死体発見こそ田舎町で、最初の捜査は地道な警察小説のパターンですが、途中から急旋回し、タイトル通り、バルト三国のひとつラトヴィアの首都リガまで出張ります。
時代背景としては、まだ独立前のラトヴィアで、旧ソ連の一部です。原書は1992年出版で、作者のあとがきによれば、この本が完成してから数ヶ月後の1991年春にソ連でクーデターが起き、その後押しでラトヴィアが独立する、という時系列です。
独立運動が盛んだったリガで、ソ連派と独立派の闘いに巻き込まれていく外国スウェーデンの田舎町の刑事を主人公にした小説って、警察小説ではないですよね。スパイ小説、冒険小説のテイストでしょうか?
まだ2作しか読んでいませんが、この調子でどんどんスケールの大きい、国際問題がらみの事件に次々とヴァランダーが取り組んでいくとすると、かなり異色のシリーズとして大きく期待したいです。こんな変な小説(念のため、褒め言葉です)、そうそうないですから。読後感は、くそまじめな顔して、バカなこと、とんでもないことをやってみせる人を、横から見ている感じでしょうか? シリアスな作品なのですが、なんだかニヤニヤしてしまいそうです。次作も期待して読みます!
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