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12番目のカード [海外の作家 ジェフリー・ディーヴァー]


12番目のカード〈上〉 (文春文庫)12番目のカード〈下〉 (文春文庫)12番目のカード〈下〉 (文春文庫)
  • 作者: ジェフリー ディーヴァー
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2009/11/10
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
ハーレムの高校に通う16歳のジェニーヴァが、博物館で何者かに襲われそうになるが、機転をきかせて難を逃れる。現場にはレイプのための道具に、1枚のタロットカードが残されていた……。単純な強姦未遂事件と思い捜査を始めたライムとサックスだったが、その後も執拗に少女を付け狙う犯人に、何か別の動機があることに気づく。 <上巻>
強姦未遂事件は、米国憲法成立の根底を揺るがす140年前の陰謀に結びついていた。そこにジェニーヴァの先祖である解放奴隷チャールズ・シングルトンが関与していたのだ……。“140年もの”の証拠物件を最先端の科学捜査技術を駆使して解明することができるのか? 新鮮かつ強烈な刺激満載の好評シリーズ第6弾! <下巻>

すっかり更新をさぼってしまいました。2月に読んだ分の感想もまだ終わらない...
さておき、
「このミステリーがすごい! 2007年版」第6位、2006年週刊文春ミステリーベスト10 第4位です。
強姦未遂事件を発端に、広がりを見せる事件を描いています。
動機をめぐる捜査、ということで、あまり科学捜査の醍醐味という感じではありません。このあたりは前作「魔術師 (イリュージョニスト)」 〈上〉 〈下〉 (文春文庫)から続いている傾向ですね。
どんでん返しに強いこだわりを持つディーヴァーだけあって、かなりツイストが効いているのですが、この作品にはちょっとあれれ?と感じる部分がありました。ミステリとしてのひねりを超えて、単に読者を驚かせるためだけの、ひっかけのためのひっかけ、のように思える部分があります。怪しげな人物やエピソードを、必要以上にまき散らして、真相をわかりにくくする、というのはミステリでは常套手段ではありますが、ディーヴァーらしいスマートさに欠ける仕上がりのように思いました。
とはいえ、ぼくが不必要だと感じたエピソードも含めて、動機に関しては巧妙に組み立てられていまして、ジェニーヴァの成長物語にもマッチして、さすが、です。
140年前と現在をどうつなぐのか、もミステリとしては注目点だと思いますが、こちらも(当然のことながら)動機に密接に関係して、緊密なプロットになっています。(もっとも、140年もの時間が実際にどのような作用を及ぼすのか、若干不安が残ります。作中ではきわめてあっさりと説明されていますが、本当かなぁ、とちょっと懸念します)
動機をキーポイントとして、ディーヴァーお得意のツイストで事件の様相が、くるくると変わっていくのは、まさにミステリを読む醍醐味で、たっぷり堪能できました。
どんどん続いているシリーズの今後が、とても楽しみです。

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