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ホーンテッド・キャンパス [日本の作家 か行]


ホーンテッド・キャンパス (角川ホラー文庫)

ホーンテッド・キャンパス (角川ホラー文庫)

  • 作者: 櫛木 理宇
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2012/10/25
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
八神森司は、幽霊なんて見たくもないのに、「視えてしまう」体質の大学生。片想いの美少女こよみのために、いやいやながらオカルト研究会に入ることに。ある日、オカ研に悩める男が現れた。その悩みとは、「部屋の壁に浮き出た女の顔の染みが、引っ越しても追ってくる」というもので……。次々もたらされる怪奇現象のお悩みに、個性的なオカ研メンバーが大活躍。第19回日本ホラー小説大賞・読者賞受賞の青春オカルトミステリ!


前回の「湘南ミステリーズ」 までが2月分で、ここから3月の読書分となります!

日本ホラー小説大賞の読者賞受賞作です。
日本ホラー小説大賞は、長編賞と短編賞があって、さらに大賞が選ばれるという賞だったのですが、この作品は2012年の回で、このときから読者賞というのができたのですね。
文庫本のいちばん最後のページに募集要綱(?)があって、そこを見ると読者賞は「一般から選ばれたモニター審査員によって、もっとも多く支持された作品に与えられる賞です」と書かれています。なるほどねー。
日本ホラー小説大賞って、ちょっと癖がある作品が多かった印象を持っています。
第2回の瀬名秀明「パラサイト・イヴ」 (新潮文庫)こそ割と一般的なモダン・ホラーでしたが、第4回の貴志祐介「黒い家」 (角川ホラー文庫)はミステリー色が強く、以降、第6回の岩井志麻子「ぼっけえ、きょうてえ」 (角川ホラー文庫)、第10回の遠藤徹「姉飼」 (角川ホラー文庫)と、かなりの異色ぶりを発揮しているものばかり。そのせいかなかなか大賞を獲る作品がないのも特徴ですね。長編賞や短編賞でも、かなり変なもの(貶しているわけではありません)が多いです。

それらの癖のある作品群と比べると、この「ホーンテッド・キャンパス」はきわめてふつうです。
怪現象はあっても、ホラーと呼ぶには怖くない。ちっとも怖くない。
読者の興味は、キャラクターに依存しておりまして、ラノベにテイストが近いです。「読者賞」、さもありなん、という感じ。従来の枠組みでは日本ホラー小説大賞(長編賞にせよ、短編賞にせよ)を受賞することはなかった作品だと思います。
ただ、ホラーとしては物足りないところ大なのですが、オカルト研究会というサークル(?)を舞台にした、なんだかゆるゆるの人間関係と、主人公八神くんの純なというか、あまりにも淡く健気な恋心が、とても読みやすい文章で、すらすらと語られているのが、意外と心地よく、モニター審査員の支持もうなずけます。
もうすでに第2作「ホーンテッド・キャンパス 幽霊たちとチョコレート」 (角川ホラー文庫)が出版されているだけではなく、さらに第3作「ホーンテッド・キャンパス 桜の宵の満開の下」 (角川ホラー文庫)も今月出るみたいですね。


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