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少女Aの殺人 [日本の作家 あ行]


少女Aの殺人 (中公文庫)

少女Aの殺人 (中公文庫)

  • 作者: 今邑 彩
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2010/07/23
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
「養父に身体を触られるのが、嫌で嫌でたまりません。このままでは自殺するか、養父を殺してしまうかも――」深夜放送の人気DJのもとに届いたのは、「F女学院の少女A」という女子高生からのショッキングな手紙だった。家庭環境があてはまる生徒三名の養父は、物理教師、開業医、そして刑事。直後、そのうちのひとりが自宅で刺殺され……。

今邑彩さん、お亡くなりになったのですねー。残念です。
中公文庫に旧作がどんどん収録されていっているので、いずれ全部読めるかなー、と思っていたところでした。これからも中公文庫には続けていってほしいです。

「少女」と銘打たれた断章を挟んだ章題が
「殺すかもしれません」
「殺してしまいましょう」
「殺しました」
「殺したあとで」
と途中まで(*)なっていて、「シンデレラの罠」 (創元推理文庫)(**)ではないですか!
もう、これだけで期待が高まります。
今邑彩の作品なので、騙されないように、と気を付けて読んでいくことになると思いますが、この作品は比較的仕掛けが見抜きやすくできていると思いました。ある意味、よくあるパターンの一つでした。
「シンデレラの罠」 との関連も薄かったような...

「ルームメイト」 (中公文庫)にも共通しますが(ブログへのリンクはこちら)、人工的というか技巧的というか、そういう設定が用いられていて、無理がある、と厳しい評価をされる方もいると思いますが、個人的にはOKです、というか、支持します。(たとえば、舞台となる学校F学院に、養父母に引き取られていて、かつ養母が亡くなっている、という生徒が3人もいるという設定からして、ちょっと無理があるような気がしますが、ミステリにおける設定としては全く問題ないと思いますので)
読者を楽しませようと、あの手この手を繰り出してきてくれる今邑彩のような作家は、やはり少ない気がします。新作を読みたかったなぁ、と思いますがもう叶えられないので、文庫に収録されていく作品が増えることを期待します!

(*)
ちなみに、そのあとは、
「少女Aはわたしです」
「マイ・ブルー・ヘヴン」
とパターンが崩れてしまっています。ちょっと残念。

(**)
本家は
「わたしは殺してしまうでしょう」
「わたしは殺しました」
「わたしは殺したかもしれません」
「わたしは殺すでしょう」
「わたしは殺したのです」
「わたしは殺します」
「わたしは殺してしまいました」
です。

タグ:今邑彩
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コメント 2

コースケ

今邑さん、早すぎますよね。
中公文庫で復刊が続いていたので、
新刊も?なんて期待をしていたのですが・・・

まだ未読の著書も多いので
他のも読んでみたいと思います。

今邑さんは技巧派の作家さんというイメージありますねえ。
中公では出てませんが、
「金雀枝荘の殺人」はオススメです。
by コースケ (2013-05-03 00:18) 

31

コースケさん、コメントありがとうございます!

今邑さんの本は、未読が残りわずかになってしまったので、大切に読まなきゃ、と思っています。

貴島刑事のシリーズも好きですが、「ブラディ・ローズ」もかなり好きです。

技巧派、という単語、感想を書くときに思いつきませんでしたが、まったくその通りですね。オススメいただいた「金雀枝荘の殺人」も、技巧的な作品だったと記憶しています。おもしろかったですね!
by 31 (2013-05-04 23:24) 

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