GOSICKs -ゴシックエス・春来たる死神- [日本の作家 桜庭一樹]
<裏表紙あらすじ>
1924年、春。ヨーロッパの小国ソヴュールに、極東から留学してきた久城一弥は孤独である。不慣れな環境、言葉の壁、クラスメイトの間で囁かれる不吉な言い伝え 〈春やってくる旅人が死をもたらす〉……そして噂どおり起きてしまった殺人事件。容疑者として絶対絶命の危機に陥った一弥に気まぐれな救いの手をさしのべたのは、図書館塔に篭もる謎の少女だった――。世界を変える出会いの瞬間を描く、名作ミステリ外伝短編集。
GOSICKシリーズの、外伝というかサイドストーリーというかを集めた短編集です。
個々の短編がそれぞれきちんとミステリの定型を守っていることに意外な感じを抱きました。
それぞれの謎や解決が平凡だとか、前例があるとか、すぐに見当がついてしまう、とかミステリ好きからの指摘はあろうかと思いますが、この物語の外伝というフレームワークの中で、ここまでミステリであり続けていることに素直に感動しました。ミステリの衣を纏っていても、このシリーズの本質は、久城一弥とヴィクトリカのボーイ・ミーツ・ガールなのですから、そんなに律儀にミステリであろうとしなくてもいいと思うのに、この忠実さ。
冒頭で短編集と書きましたが、とはいえ、第一話、第二話、ではなく、第一章、第二章と章立てになっているので、全体として一つの物語という解釈もできます。最後に序章が来る、という趣向になっていまして、時系列を変えて配置してあるのも、なかなか趣深い。
あと、各編のラスト、話が一段落ついたところで、
「その後、××となるが、それはまた別の話である--」
と結ばれて、シリーズ本編へといざなっていく形になっているのが、独特のリズムとなっていて、おもしろかったです。この趣向が、章立ての趣向と響きあってもいるので、より一層。
また、シリーズ本編に戻って、楽しんでいきたいです。
2013-06-27 22:00
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