SSブログ

カラスの親指 [日本の作家 道尾秀介]


カラスの親指 by rule of CROW’s thumb (講談社文庫)

カラスの親指 by rule of CROW’s thumb (講談社文庫)

  • 作者: 道尾 秀介
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2011/07/15
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
人生に敗れ、詐欺を生業として生きる中年二人組。ある日、彼らの生活に一人の少女が舞い込む。やがて同居人は増え、5人と1匹に。「他人同士」の奇妙な生活が始まったが、残酷な過去は彼らを離さない。各々の人生を懸け、彼らが企てた大計画とは? 息もつかせぬ驚愕の逆転劇、そして感動の結末。道尾秀介の真骨頂がここに!


日本推理作家協会賞受賞作です。
「このミステリーがすごい! 2009年版」第6位、2008年週刊文春ミステリーベスト10 第10位。

冒頭、コナン・ドイルの「緋色の研究」からの引用が掲げられています。
曰く、
「表が出ればぼくの勝ち、裏が出れば君の負け。」
おお、そういう小説なんですね、と期待が膨らみます。いいじゃないですか、コン・ゲーム。

タイトルのうち、カラスは玄人のこと。カラスが黒いからそういう、と作中に出てきます。(151ページ) でも、スリのことなのかな? 詐欺師ではなく。
親指は、いろいろな意味が込められているようですが、お父さん指、ということでもあります。(241ページ)
英文タイトルとして(?)、“by rule of CROW’s thumb” とついていますが、by rule of thumbは、「理論やなんかじゃなくて、経験にもとづく方法って意味」(185ページ)だそうです。

騙す相手はヤミ金組織だから、命がけ。危ない目にも遭います。
道尾秀介の作品で、ここまでストーリーがぐんぐん展開するの、珍しくはないでしょうか? こういう勢いのある作品も上手なんですね。

さてさて首尾よくヤミ金を騙せますかどうか。ハラハラします。
そして最後の回想シーン。
うーん、いいですねぇ、これ。
こういう方向に話が展開していくとは、あまり予想していないでしょう。
やや駆け足で詰め込み過ぎ感はあるものの、途中、あれれ、とひっかかりを覚えていたところが回収されていい感じでした。

ただ、ここにあるのは結果として「コン・ゲーム」とは違う手触りの作品ですので、コン・ゲームは期待しないほうがよいかもしれません。
騙しに並々ならぬ手腕を発揮してきた道尾秀介のことだから、ひょっとしたら、冒頭にコナン・ドイルを引用して「コン・ゲーム」っぽくしたこと自体が、作者の仕掛けなのかもしれませんね。

nice!(10)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 10

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0