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ミハスの落日 [日本の作家 な行]


ミハスの落日 (新潮文庫)

ミハスの落日 (新潮文庫)

  • 作者: 貫井 徳郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2010/03/29
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
一面識もない財界実力者に呼び出された青年ジュアン。訪れたミハスの地で明かされたのは、亡き母の記憶と、30年前に起きた密室殺人の真相であった。スペインを舞台にした表題作他、憧れの女性に裏切られ、殺意を抱いた男が予期せぬ殺人事件に巻き込まれる「ストックホルムの埋み火」など5編。本格ミステリ、警察小説、そして驚愕のどんでん返し。貫井徳郎の全てが詰まった短編集。


ミステリではもはや定番となった題材・テーマでも、とらえる角度を変えると新鮮に見えると思った「ミハスの落日」。
事件の謎解きそのものは、ちょっといかにもなトリック過ぎてあまり感心しなかったのですが、最後のエピソードが強烈に印象に残る「ストックホルムの埋み火」。
ありふれた(失礼!) 保険金詐欺と思える事件を切り口を変えて光をあてて、闇を浮かび上がらせる「サンフランシスコの深い闇」。
犯人が判明してからの会話のおそろしさにぞっとする「ジャカルタの黎明」。
外国人向けガイドが美しいアメリカ人女性客を手助けした結果の受難を描く「カイロの残照」。
の5編収録の短編集です。
各話のタイトルが、外国の地名+光・明かりに関する単語で統一されていて洒落ています。

いずれも中心的に語られるストーリー展開の横(だか斜めだかわかりませんが)に、趣きある物語が隠されているという特徴があると思いました。
たとえば表題作は、あとがきで作者自身が書いているように「この作品のトリックは、まともに書いていたら噴飯ものでしかない」ものですが、それを物語の中に組み込んで、全体の構図に奉仕するかたちになっているところがポイントなのだと思います。

こういうタッチの作品、また書いてもらいたいです。
タグ:貫井徳郎
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