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もろこし紅游録 [日本の作家 あ行]


もろこし紅游録 (創元推理文庫)

もろこし紅游録 (創元推理文庫)

  • 作者: 秋梨 惟喬
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2010/12/11
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
神行法縮地術をもって瞬く間に町並みを過ぎ運河を飛び越え、目にも留まらぬ早業で数多の敵をなぎ倒す。武は超一流、頭脳明晰、黄帝由来の銀牌をちらつかせれば何事も自由自在。抜群の身体能力と天下御免のアイテムに恵まれた“銀牌侠”は、今日も旅の空で弱きを助け強きを挫く。虚実ないまぜの中華世界を舞台に描く笑いあり涙ありの銀牌侠伝説、『もろこし銀侠伝 』に続く第二集。


表紙をめくったところにある扉のところのあらすじも引用します。

三皇五帝のひとり黄帝が作った銀牌は何千年も受け継がれてきた天下御免の証。これを持つ侠客の前には皇帝の勅命とて無力である。仙人めいた老人かと思えば若き豪傑であったり、はたまた美しい美少女であったりする“銀牌侠”は、明晰な頭脳と無敵の武術を具えた謎の存在として、今日も旅の空で弱きを助け強くを挫く。蘇州では饅頭の売り上げを奪われかけた十歳の少年を助けてやり、お礼をしたいからと家に誘われたところが……。
第三回ミステリーズ!新人賞受賞作「殺三狼」に始まった“銀牌侠”伝説、戦国から民国時代の中国を舞台に描く第二集。

こちらの方が、この連作の枠組みがわかりやすいですね。
前作「もろこし銀侠伝」 (創元推理文庫)(ブログへのリンクはこちら)を読んでからこの「もろこし紅游録」 (創元推理文庫)を読むまでに2年以上も間が空いてしまいました。
けれど、冒頭の「子不語」から、すっと物語の世界に入り込むことができました。
「殷帝之宝剣」「鉄鞭一閃」と時代がどんどん新しくなって、最終話の「風刃水撃」では辛亥革命の頃が舞台です。作者のあとがきによると
『「子不語」から「風刃水撃」の間は二千数百年、銀牌の発端から終焉までを描いています。』
とのことで、「風刃水撃」は、古の銀牌が時代とずれていってしまっているありさまに、なんだか切ない(?) 気分になりました。ファンタジーは、古き良き時代こそがふさわしいということでしょうか。
各話ともに、武侠ならではの武術に絡めて、ミステリらしいアイデアが盛り込まれているのも楽しい。
非現実的だとか、無理だとかいう批判もあるでしょうが、この作品の世界にまさにふさわしい現実からの飛躍ぶりなので、これでいいのだと思います。「殷帝之宝剣」での宝剣の正体とか、「鉄鞭一閃」での死体の首を切った理由とか、いかにもミステリらしくて、おもわずニヤニヤしてしまいます。
楽しいシリーズですね。
次作「もろこし桃花幻」 (創元推理文庫)は長編らしいです。楽しみ、楽しみ。



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