カンナ 吉野の暗闘 [日本の作家 高田崇史]
<裏表紙あらすじ>
諒司(りょうじ)捜索のため、甲斐と巫女の貴湖(たかこ)らは奈良・吉野へ。その山中で、一行は山岳ガイドの光昭に助けられるが、同じ頃、光昭の母がさらわれるという事件が発生。その裏には、吉野の黄金伝説をめぐる争いがあった。吉野の山は、なぜ桜だらけなのか? 役小角(えんのおづぬ)も金鉱脈を探していたのか? すべての解が、ここに!
シリーズ第3弾は、吉野と修験道です。
修験道・役小角の答えは、いつもの高田節なので、ファンは楽しめると思います。
来たよー、朝廷(中央政府)の横暴!!
このシリーズは(QEDシリーズも、と言えるかもしれません)、普段気づかない、あるいは学校で習う歴史では教えてくれない、この「朝廷(中央政府)の横暴」を、いろいろな形で提示することが眼目の一つだと思われますので、「また朝廷だよ」というのではなく、「おお、こんなところにも朝廷の横暴が」と楽しむのが正道だと思います。
山が女人禁制になった理由、なかなかの捻りだと感心します。
また、吉野の山が桜だらけの理由も、なんかミステリっぽい。
一方で現実の事件の方は、超薄味というか、勝手に犯人が自滅するパターンで、食い足りないですね。
「この殺人事件の『扱いの軽さ』こそが、カンナシリーズ全体で表現しようとしているテーマを象徴していると考えられるからだ。読者諸氏は、歴史の記録から意図的に消され、忘れられた敗者や庶民の存在を、高田崇史が作品を通じて繰り返し思い出すよう訴えてきたことを覚えておられると思う。彼らは、為政者から大義名分のもとに理不尽に、軽々しく生活を奪われ、その命を散らしてきた。カンナシリーズの殺人事件の『軽さ』は、人の命が虫よりも軽かった時代の時代性がむしろ二重写しにされているようにみえる。」
と解説で真中耕平が書いていますが、ものはいいようといいますか、これはいくらなんでも贔屓の引き倒しだと思います....
とはいえ、甲斐がどんどん忍者っぽくなってくるというか常人離れしてきているのが微笑ましく、シリーズとしては楽しくなってきたので、全9巻、読み進んでいきます!
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