カンナ 奥州の覇者 [日本の作家 高田崇史]
<裏表紙あらすじ>
闇に葬られた、知られざる歴史を記した秘密の社伝。この書物を持って失踪した諒司から連絡が。急ぎ、岩手・水沢へ向かう甲斐だったが、社伝はすでに修験たちに奪われていた。一方、この土地の先住民・蝦夷の長であったアテルイは、なぜ簡単に坂上田村麻呂に降伏したのか。ここにも歴史の暗部が眠っていた。
シリーズも第4作になって、こちらもずいぶん登場人物に馴染んできました。
鴨志田甲斐、中村貴湖、柏木竜之介そして忍者犬のほうろくという旅仲間と、留守を守る(?) 甲斐の両親完爾と展子そして貴湖の祖父丹波。忍びの家系というのがポイントですね。
一方、逃げる諒司は当然ながら怪しげですが、諒司の妻志乃芙も、その父含めなにやら怪しげになってきて、いいではありませんか。甲斐の婚約者海棠聡美も最初っから怪しいですし。
修験のものたち、とか、波多野村雲流の人間たち、とか味方なのか敵なのか、入り乱れて伝奇っぽい感じ。
今回の地方は、奥州。アテルイと坂上田村麻呂ですか。ちょっと馴染みがないですねぇ。
でもいいんです。英雄田村麻呂の化けの皮がはがれる、というか、朝廷の悪辣さがわかって楽しめればそれでいいのです。
73ページ、アイヌ語をいろいろと解釈しているところで、「カンナ・カムイ」が「天の神」という意味で、「カンナ」には「天」の他にも「雷」という意味や「龍」という意味まである、と紹介されています。
シリーズタイトルに絡む重要な知識ですね。
また、ラストにQEDシリーズの桑原崇と棚旗奈々とおぼしきカップルが出てきてちょっとニヤリ。ストーリーには絡みませんが、こういうの楽しいですね。
どんどん忍びを取り戻すというか、身につけるというか、能力を発揮しだしてきて、シリーズが深化していっていることがここからもうかがわれます。次が楽しみです。
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