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天地明察 [日本の作家 あ行]


天地明察

天地明察

  • 作者: 冲方 丁
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2009/12/01
  • メディア: 単行本


<帯あらすじ>
江戸時代、前代未聞のベンチャー事業に生涯を賭けた男がいた。
ミッションは「日本独自の暦」を作ること。
碁打ちにして数学者・渋川春海の二十年にわたる奮闘・挫折・喜び、そして恋!!


岡田准一主演で映画化されましたね。ベストセラーです。
第31回吉川英治文学新人賞受賞です。帯には、第7回北東文芸賞受賞とも書いてあります。
あと、2010年本屋大賞受賞、です。
話がそれますが、本屋大賞って、最初のころは「全国書店員が選んだいちばん! 売りたい本」ってことで、コンセプトとして、いい本なのにそんなに売れていない本を本好きな店員さんが推す、という感じでよさげだったのですが、投票する書店員さんが増えて本好きでもなんでもない人も投票するようになったんでしょうね、すでにベストセラーの本を、「受賞作」という看板でさらに売り上げを伸ばそうというあさましい魂胆ありありの賞になってしまったようで(本が売れない、といわれる最近の情勢では、売るための方便としてはよい戦略だとは思います)、まったく信用していません。
もっとも、受賞が決まる前からすでにベストセラーの作品を選ぶということなので、ぜんぜんだめな作品が選ばれることもないでしょうから、受賞作を忌避する必要もありません。お手並み拝見的な、ちょっと意地悪な読み方をしてしまいますが...
単行本で読みましたが、例によって積読しすぎで、とっくに文庫化されています。リンクは文庫に貼ります。

天地明察(上) (角川文庫)天地明察(下) (角川文庫)


この「天地明察」 (上) (下) は、作者が冲方丁ということで、冲方丁は、「マルドゥック・スクランブル The 1st Compression」  (ハヤカワ文庫JA)から始まるシリーズにすっかり魅了されてしまったので、大変期待して読みました。
期待にたがわず、とてもおもしろかったですね。
保井算哲(=渋川春海)を描く作品で、いやあ、地味なテーマだ、とそう思いました。そう思いましたが、ちっともそんなことありませんね。きわめてドラマチックです。ベストセラーになる価値、あります。
関孝和や本因坊道策との絡みなどもおもしろかったし、政治が絡む動きも要領よく読者に提示されます。実際に、こんなにドラマチックな話だったんでしょうか?
江戸時代を舞台にし、時代の説明があちこちでなされ、将軍や大老、帝や陰陽師・土御門家などが出てきながら、時代色をあまり感じさせません。まぎれもなく江戸時代を描きながら、きわめてきわめて現代的です。
うまく説明できませんが、普通の時代小説がたとえば水墨画のように江戸時代を描こうとしているのに対し、この「天地明察」 (上) (下) は、印象派のように(?) 江戸時代を描こうとしている、というような?(印象派というのも古いですが...) なんだかかえってよく分からない説明になってますね...
後半駆け足になってしまった感があるのがちょっと残念ですが、新しい時代小説として、とても面白く読みました。
冲方丁は、このあとも時代小説を書いているようです。そちらにも強い興味が湧きました。










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