珈琲店タレーランの事件簿 3 心を乱すブレンドは [日本の作家 岡崎琢磨]
珈琲店タレーランの事件簿 3 ~心を乱すブレンドは (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
- 作者: 岡崎 琢磨
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2014/03/24
- メディア: 文庫
<裏表紙あらすじ>
実力派バリスタが集結する関西バリスタ大会に出場した珈琲店《タレーラン》の切間美星は、競技中に起きた異物混入事件に巻き込まれる。出場者同士が疑心暗鬼に陥る中、付き添いのアオヤマと犯人を突き止めるべく奔走するが、第二、第三の事件が……。バリスタのプライドをかけた闘いの裏で隠された過去が明らかになっていく。珈琲は人の心を惑わすのか、癒やすのか――。美星の名推理が光る!
タレーラン三冊目です。
「珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を」 (宝島社文庫)
「珈琲店タレーランの事件簿 2 彼女はカフェオレの夢を見る」 (宝島社文庫)
と違い、今度の「珈琲店タレーランの事件簿 3 ~心を乱すブレンドは」は、1冊で1つのお話です。連作長編ではなく、長編になりました。
殺人こそ起きませんが、関西バリスタ大会を舞台に、密室事件(!) を取り扱った、きわめてミステリ色の強い1冊です。意外...
一般公開されているバリスタ大会って、ミステリの舞台には扱いづらいんじゃないだろうか、と余計な心配をしましたが、あれこれ作り込まれていて容疑者はちゃんと限定されていきます。
この舞台設定、作者は楽しみながら作り上げられたんじゃないでしょうか? 大会の様子、読んでいて楽しかったですよ。
事件は、僕・アオヤマが監視している状況下でもおきまして、その結果、関係者一同の面前で美星から「怪しい」と指摘される始末。もちろん、美星がアオヤマのことを本気で疑ったりするはずもありませんが、ニヤリとできます。
また、前2作ではコーヒーに関する薀蓄がいかにも薀蓄のための薀蓄だったのに対し、今回は事件の要素としてなんとか溶け込んでいます。事件そのものが、コーヒーを淹れることと密接にかかわっているのがよかったんでしょうね。
問題は、犯人と動機と犯行がちょっとちぐはぐな点でしょうか。この動機だったら、この犯人はこういう犯行はしないのではないでしょうか? こちらがそう思い込んでいるだけで、実際はしてしまうのかもしれませんし、こちらがそう信じたいだけなのかもしれませんが。
疑問や難点は多々ありますが、ミステリ方向へ大きく一歩踏み出した感がありますので、応援していきたいです。
<蛇足>
「珈琲店タレーランの事件簿 2 彼女はカフェオレの夢を見る」で気になった、第1作との人物設定の食い違いはそのままで、第2作を踏襲して、この「珈琲店タレーランの事件簿 3 ~心を乱すブレンドは」は書かれているようです。
こちらの読み方がおかしいのかな?
それにしても、アオヤマと美星の関係、ちっとも進展しませんねー。
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