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マドンナ・ヴェルデ [日本の作家 海堂尊]


マドンナ・ヴェルデ (新潮文庫)

マドンナ・ヴェルデ (新潮文庫)

  • 作者: 海堂 尊
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2013/02/28
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
美貌の産婦人科医・曾根崎理恵、人呼んで冷徹な魔女(クール・ウィッチ)。彼女は母に問うた。ママ、私の子どもを産んでくれない――?  日本では許されぬ代理出産に悩む、母・山咲みどり。これは誰の子どもか。私が産むのは、子か、孫か。やがて明らかになる魔女の嘘は、母娘の関係をも変化させ……。『ジーン・ワルツ』では語られなかった、もう一つの物語。新世紀のメディカル・エンターテインメント第2弾。


「ジーン・ワルツ」 (新潮文庫)(感想ページへのリンクはこちら)の続編です。いや、「続編」という表現は正しくないですね。「ジーン・ワルツ」 の姉妹作です、というところでしょうか? 内容からしたら、姉妹作というより、母娘作!? 昔懐かしレコードでたとえると、A面、B面の関係というところ。
「ジーン・ワルツ」 で描かれたストーリーを、この「マドンナ・ヴェルデ」 では、理恵の母親である山咲みどりの視点で描きます。
こういう場合、読者はストーリー展開をすでに知っていますので、楽しみ方は大きく2つあるのではないかと思います。
1つは「ジーン・ワルツ」 でのストーリーの裏話、隠れたエピソードを楽しむやり方。
もう1つは、立場の違う当事者の視点を通すことで、登場人物の心理により深く迫っていくやり方。
ぼくは、1番目のやり方で楽しみました。なかなか楽しめました。芝居を裏から覗きみる感じ?
一方で、2番目の楽しみ方はあまりできませんでした。
というのも、登場人物の心理、という点で今一つピンとこなかったからです。
「ジーン・ワルツ」 のときもよくわかりませんでしたが、「マドンナ・ヴェルデ」 を読んでも解消せず。
当然のことながらテーマがテーマだけに、孕む性、産む性、に鋭く迫って行かないと、心理面での感銘は受けにくくなると思われるのですが、迫力不足? こちらが孕めない性、産めない性であるから、ということもあるでしょうし、作者も男性だから(? これも差別的な考え方かもしれませんが)、頭で一所懸命作り上げましたぁ~、という印象がぬぐえなかったのです。
この点、解説を「マドンナ・ヴェルデ」 がテレビドラマ化された際みどり役を演じられたということで女優の松坂慶子さんが書いておられるのですが、さらっと、それでいてくっきりと登場人物の心理を解説されていて、こちらはかなりしっくりきました。名解説ではないでしょうか。
ドラマは観ていないのですが、こういう解説を書かれる松坂慶子さんが演じておられたのだったら、きっといい作品だったのでしょうね。



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