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千年ジュリエット [日本の作家 初野晴]


千年ジュリエット (角川文庫)

千年ジュリエット (角川文庫)

  • 作者: 初野 晴
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2013/11/22
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
清水南高校、文化祭間近、晴れの舞台を前に、吹奏楽部の元気少女・穂村チカと、残念系美少年の上条ハルタも、練習に力が入る。そんな中、チカとハルタの憧れのひと、草壁先生に女性の来客が。奇抜な恰好だが音楽センスは抜群な彼女と、先生が共有する謎とは?(「エデンの谷」)ほか、文化祭で巻き起こる、笑って泣ける事件の数々。頭脳派ハルタと行動派チカは謎を解けるのか?青春ミステリの必読書、“ハルチカ”シリーズ第4弾!


2015年も早や7日ですが、この「千年ジュリエット」 からやっと昨年11月に読んだ本の感想となります。

シリーズ第4弾の本書も、チカのモノローグである「イントロダクション」で幕を開けます。
「エデンの谷」「失踪ヘビーロッカー」「決闘戯曲」「千年ジュリエット」の4編収録。
「エデンの谷」では新キャラ登場。草壁先生と知り合いってのがポイントですね。「本物の自由と孤独と音楽を愛するスナフキン」って...出てくる楽器が、鍵盤ハーモニカというのも意表をついていておもしろい。探し物をめぐる謎は、まあ平凡な出来だし、いつものハルチカ・シリーズと比べると、日常からの飛躍ぶりが控えめなのが残念ですが、この作品のメッセージにはぴったりな展開でした。
「失踪ヘビーロッカー」は、よくこんなことを考え付いたなぁ、と感心。タクシーでの奇行につけられる説明が明かされると、きっとびっくりしますよ。
それにしてもシリーズ的には、まだ新部員集めてるんだと、ちょっとびっくり。でも、考えてみたら、普門館を目指すんだから、ちょっとでも裾野を広げておく必要はありますよね。
「決闘戯曲」は、またフィクションの中の謎かぁ、とちょっと愚痴ってしまいますが、超弩級の馬鹿馬鹿しい(褒め言葉です)真相に不満は吹き飛びました。
表題作「千年ジュリエット」は、よくあるトリック(?)のバリエーションではありますが、文化祭のフィナーレと響きあうような設定になっているので、これはこれでOKかと思います。

解説で引用されている作者のインタビューで
「今までの三作とは趣向が変わっていて、高校を舞台に、どこまで外にむかって世界観を拡げられるのかを意識してみた」
と語られているのですが、これって、シリーズ第1作「退出ゲーム」 (角川文庫)の感想 (感想のページへのリンクはこちら) にも書いた通り、舞台設定とはずれた地点に到達してみせることがこのシリーズの持ち味と考えているので、もともとこのシリーズが持っている特長の一つだと思うんですよね。だから、「今までお三作とは変わっていて」というのに、あれれ、と思いました。僕の感じていることと、作者の考えていることでは、「世界観を拡げる」という観点だと別のこと、ということなのでしょうが....

この後シリーズの新刊が出ていないような。早く続き書いてくださいね。




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