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三題噺 示現流幽霊 [日本の作家 愛川晶]


三題噺 示現流幽霊 (神田紅梅亭寄席物帳) (創元推理文庫)

三題噺 示現流幽霊 (神田紅梅亭寄席物帳) (創元推理文庫)

  • 作者: 愛川 晶
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2014/05/12
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
病に倒れ高座から離れていた六代目山桜亭馬春の復帰独演会までいよいよ一カ月半となったところで、師匠がネタ出ししたのは『海の幸』という噺だった。亮子どころか福の助やお席亭、落語界の生き字引きも首をひねるばかり。実はこの噺、晩年の彦六が最後に演じる予定だった、誰にも内容がわからない謎の噺で……。落語を演じて謎を解く! 本格落語ミステリ集。


「道具屋殺人事件」 (創元推理文庫)
「芝浜謎噺」 (創元推理文庫)
「うまや怪談」 (創元推理文庫)
に続く、シリーズ第4弾。

「多賀谷」
「三題噺 示現流幽霊」
「鍋屋敷の怪」

「特別編(過去)」
を収録。
「多賀谷」は、詐欺事件を扱っています。
表題作は、226ページにおいて、亮子が十の謎を数え上げるところがあって、非常に凝った謎解きを楽しめました。シリーズの特色である落語との結びつきもきれいに決まっていました。
で、「鍋屋敷の怪」はいよいよ、馬春の復帰独演会の巻、です。
この「三題噺 示現流幽霊」、作品それぞれ個々の謎解きもいつもながら凝っているのですが、やはり、馬春師匠の復帰が気になります。
いやあ、さすがは愛川晶。立派などんでん返しが仕掛けられています。
なんだか怪しいなぁ、とそれまで思っていたものの、330ページに来て、唖然、というか、茫然、というか。その後も波状攻撃で、参りました。
と堪能したあと、「特別編(過去)」を読めば、おかみさん(馬春師匠の奥様)のご苦労が....
ミステリとシリーズの趣向が混然一体となった作品で、とてもよかったです。


P.S.
「『弥助』とは江戸言葉で、寿司のこと。」(37ページ)と出てきます。
知りませんでした。
「『義経千本桜』という浄瑠璃に『鮨屋の段』というのがあり、その中に出てくる下男の名が『弥助』なのだという」という謂れも書いてあります。
こういう知識が身につくのも楽しいですね。


<蛇足>
上で引用したあらすじに、「一カ月半」という記載があります。本文にも出てきます。
この表記、とても気になります。
(もともと当て字だそうですが)「一箇月」と漢字で書くか、記号であることを明瞭に示して「一ヶ月」(一ケ月ではありません)と書いてほしい。
「一カ月」って、あまりにも品がなさすぎる表記だと思います。どうして突然カタカナが出てくるのでしょうか? 
記号を文章に盛り込むのが嫌なら、「一か月」とひらがな表記になるべきでは?
「ヶ」をカタカナにして「一ケ月」と書くのは論外ですが...


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