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戦力外捜査官 姫デカ・海月千波 [日本の作家 似鳥鶏]


戦力外捜査官 姫デカ・海月千波 (河出文庫)

戦力外捜査官 姫デカ・海月千波 (河出文庫)

  • 作者: 似鳥 鶏
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2013/10/08
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
警視庁捜査一課に着任したドジッ娘メガネ美少女警部・海月千波は、周囲の期待を裏切る捜査能力の低さで、配属から2日で戦力外通告を受ける。お守役の設楽恭介刑事と独自に連続放火事件を追ううち、女子大学院生殺人、さらに7年前の幼女殺害事件に辿り着くが……。凸凹コンビは犯人の壮大な復讐計画を阻止できるのか!?


似鳥鶏の新シリーズです。
武井咲&EXILE・TAKAHIRO主演でドラマ化されていましたね。
それにしてもこの本の表紙、どうなんでしょうね?
たしかに、海月と設楽のキャラクターの要素は大きい小説ではありますが、この表紙絵では、込み入った本書の内容にマッチしているとは言い難い気がします。

多少ネタバレ気味ではありますが、書いてしまうと、
いくつかの事件を追うと同時に、その裏側で(?)、大きな話が進行しているという構造になっています。
海月と設楽のキャラクターやふたりのやりとりは、その大きな話のめくらまし、とも解すことができるようにはなっていますが、それは褒めすぎというもので、あまり有効にワークしていないように思います。特に、似鳥鶏の読者には。
警視庁捜査一課の、しかも凶悪犯相手の火災犯掛にキャリアの女性警部が配属される。しかも事前の打診も相談もなく、刑事部長直々の肝いりで。
こりゃ、何かあるな、と思うではないですか、ミステリ読者としては。
確かに、海月のキャラクターはマンガ的なので、その落差を楽しむ小説なのかな、と思いかけるものの、作者が似鳥鶏だったら、もう一段は考えがあるはずと思って間違いない。
大きな話の内容そのものまではわからなくても(わかるような書き方にはなっていません)、何かあるんだろな、と心の中で考えながら読むことになるはずです。
ただ、その大きな話の内容が、ちゃんと事件と関係してくるところは、なるほどねー、と思いましたし、クライマックスの刑事部長の勇姿もなかなかいいではありませんか。

事件が意外と盛りだくさんなので、しかもギャグシーンを盛り込んでいることもあり、かなり展開が窮屈に思えました。
クライマックスシーンの性格からスピーディーにしようとされたのかもしれませんが、もうすこしそれぞれの構成要素を書き込んだ方がミステリとしては安定したような気がしました。

気になる点もありましたが、これはシリーズの第1作。
「大きな話」も無事(?) 明かされて、今後は事件に集中できると思うので(集中させない、という選択肢もありますが、個人的には事件をメインに据えて書いてもらいたいです)、続けて出ている、
「神様の値段: 戦力外捜査官2」 (河出文庫)
「ゼロの日に叫ぶ: 戦力外捜査官3」 (河出書房新社)
に期待します。



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