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あわせ鏡に飛び込んで [日本の作家 あ行]


あわせ鏡に飛び込んで (講談社文庫)

あわせ鏡に飛び込んで (講談社文庫)

  • 作者: 井上 夢人
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2008/10/15
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
幻の名作「あわせ鏡に飛び込んで」をはじめ、瞬間接着剤で男をつなぎとめようとする女が出てくる「あなたをはなさない」、全篇、悩み相談の手紙だけで構成されたクライムミステリー「書かれなかった手紙」など、選りすぐりの10篇を収録。精緻に仕掛けられた“おとしあな”の恐怖と快感!


以下の10編を収録した短編集。巻末に、大沢在昌と井上夢人との対談が掲載されています。

「あなたをはなさない」
いきなり強烈な印象を残す作品です。これ、怖いなぁ。
大沢在昌もこれが一番怖かったと言っています。

「ノックを待ちながら」
会社の金に手を付けて返さなければならなくなったので、自分に似た男を殺して、妻と組んで保険金を詐取しようとした主人公。
倒叙形式のサスペンスですが、犯行に及ぶときって、こんな感じかもしれませんね。

「サンセット通りの天使」
FBIによる監視を受けている主人公が、ヘロイン取引の仲間マーシャルを出し抜いて姿を消そうとたくらみます。
サスペンスものの教科書といえそうな、きれいにまとまった作品です。

「空部屋あります」
お屋敷物(?)のホラーの変奏曲ですね。
会話体でするするとオチまで滑らかに進んでいきます。

「千載一遇」
警備仲間に罪を着せ、大金を盗もうとした男。ところが、仲間が彼を殺そうとし、逆に殺してしまう。
これまたサスペンス物の典型的な感じがします。ちょっと典型的すぎて、物足りない!?

「私は死なない」
生命体の肉体と精神意識体を切り離す作用をもっている薬品が登場します。
これも、怖いなぁ。

「ジェイとアイとJI」
扱っているのは、人工知能なんですかね?
書かれた頃より、時代も技術も進歩、大きく進歩していますが、根っこは不変!?

「あわせ鏡に飛び込んで」
医療過誤で死んだ女の夫天沼にパーティーに呼ばれた院長城所(きどころ)。
妻の死の原因をつきとめようとする天沼をかわそうとする城所だが、次第に追いつめられていき...

「さよならの転送」 
携帯電話が普及していない時代だからこそ、といえそうな留守番電話に絡んだ悲劇。
単純なアイデアですが、効果的だと思いました。

「書かれなかった手紙」
手紙だけで構成された作品です。
夫谷口遙一から、妻玲子の高校時代の恩師磯部益達に宛てた手紙。磯部から遙一に宛てた手紙。磯部から玲子へ宛てた手紙。
そして、磯部から教え子で現在は警察に努めている金坂真一郎に宛てた手紙と、金坂から磯部への返信。
登場人物も限られていますので、どこへ持っていくのかな、と思ったら、わりとありふれた着地へ持っていくのですが、すごくスタイリッシュに感じました。
ところで、途中磯部が気づく手がかりは、ちょっと気づくの難しくないでしょうか? 手書きの手紙だとわかりやすいのかな?

井上夢人は、非常に寡作ですが、ぜひぜひ、もっとじゃんじゃん書いてもらいたいです。



タグ:井上夢人
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