海街diary 3 陽のあたる坂道 [コミック 吉田秋生]
<裏表紙あらすじ>
最初の出会いから季節がひとめぐりした夏――。すずと3人の姉たちは、父の一周忌で再び河鹿沢温泉を訪れた。複雑な思いを胸に抱くすずだが…? 家族の「絆」を鎌倉の美しい風景とともに情緒的に描く、大注目のシリーズ第3巻!
このシリーズ第3弾「海街diary 3 陽のあたる坂道」 には、
「思い出蛍」
「誰かと見上げる花火」
「陽のあたる坂道」
「止まった時計」
の4話 収録。
「思い出蛍」は、父の一周忌ということで、すずの住んでいた街(街というより、町という感じかも)をみんなで一年ぶりに訪問します。
義母(だった陽子)が再婚を前提に付き合いをしている、という事実に感情を爆発させるすずと、それに対峙する幸。
「初めてじゃない? すずがお姉ちゃんに口答えしたの」という佳乃のセリフが光りますね。こういうのをきちんと掬い取ってくるところがこのシリーズの長所ですね。
そして、そんなすずも、義弟の和樹と再会し、いろいろと考えを深めていく。
「誰かと見上げる花火」では、幸ねえに職場替え(転職ではありません。配置換えというのでしょうか?)の話が。また幸ねえの不倫が姉妹に知られます。
それぞれが、それぞれに観る花火大会。(アレ? でも今回千佳のエピソードはなかったような...)
幸ねえ、佳乃、すず、誰もが、思い通りでない花火大会ってところがミソなんでしょうねぇ。
「陽のあたる坂道」」で、裕也のオクトパスでのプレーが話題になります。
「たった15分でみんな悟ってしまった。
裕也はやっぱり以前の裕也じゃないんだ と」(112ページ)
という部分が象徴するように、やはりそこは義足ですから、難しい。
でも、風太は違います。
後段ですずが
「いくら努力してもどうにもならないことってやっぱあるけど
だからって別に終わりじゃないんだなって」(140ページ)
と感想を述べていますが、この風太の視線、これこそがこのマンガを読む醍醐味のような気がしました。
あと、カーテンをめぐるすずのエピソード。重病患者を看病することの重みが、思いがけないエピソードで提示されています。
「止まった時計」で、幸ねえの不倫に一大転機が。
しかし、このシリーズの登場人物はみんな、周りのことをよく見て、よく考えていますね。
幸ねえが、ダメナースの後輩アライさんを見る(分析する!?)くだりなんか、印象的です。
「『とても大切なこと』とそれ以外のオン・オフがあまりに激しくて不器用なだけ」(170ページ)って、意外とそういうことあるのかもしれませんね。
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