さよならの手口 [日本の作家 若竹七海]
<裏表紙あらすじ>
探偵を休業し、ミステリ専門店でバイト中の葉村晶は、古本引取りの際に白骨死体を発見して負傷。入院した病院で同室の元女優の芦原吹雪から、二十年前に家出した娘の安否についての調査を依頼される。かつて娘の行方を捜した探偵は失踪していた――。有能だが不運な女探偵・葉村晶が文庫書下ろしで帰ってきた!
まさに待望の葉村シリーズ。
前作「悪いうさぎ」 (文春文庫)が出たのが2001年。
この「さよならの手口」が2014年ですから、なんと13年ぶり。
13年ぶりの新刊が文庫書き下ろし...ぜいたくですねぇ。(作者は大変でしょうけれど)
「このミステリーがすごい! 2016年版」第4位です。発売時期が違えばもっと上位に来たのでは?
しかしまあ、葉村晶は不運ですねぇ。
オープニング早々、古本を引き取りにいっただけなのに、大けがし、白骨を発見し...
この白骨事件はあっさり解決されますが、その真相もたいがいびっくりできますよ(笑)。
で、そのあとハードボイルドでは定番の失踪人捜しへ。
ここから、葉村には不幸が積み重なり、同時並行で謎もつみあがっていきます。
ころころとストーリーが転がるように広がって行って、最後にきちんとたたまれる。
こんなにあれもこれもと欲張ったプロットなのに、ちゃんとエンディングでまとまるのは本当に素晴らしい。
いやあ、13年待ったかいがありますよ、この充実度は。
ミステリ的にはさほど目新しいところはないのかもしれませんが、組み合わせの妙というのか、カチッと組み上げられた感がしてステキです。
視点が葉村に固定されていて、その語り口にうっすらとユーモアが漂うところもいい。
タイトル、「さよならの手口」
巻頭に掲げられている
「警官にさよならを言う方法はまだみつかっていない、」
というチャンドラーの引用を意識したものですが、これに呼応するエンディングも見事ですね。
でもなぁ、これ、ちゃんとさよならできますかね?
次はこんなに待たせないでほしいですっ!
<蛇足>
それなりに重要な役どころとして登場する美枝子というおばさんの話し方が気になります。
「ねーえ?」
「ねーえ」
どういう発音なんだろな。
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