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雨恋 [日本の作家 ま行]


雨恋 (新潮文庫)

雨恋 (新潮文庫)

  • 作者: 松尾 由美
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2007/08/28
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
ある晩、マンションの居間で彼女は語りだした。「わたしは幽霊です。そういうことになるんだと思います」。OL・小田切千波は自殺したとされていた。だが、何者かに殺されたのだ、と訴えた。ぼくは彼女の代わりに、事件の真相を探ることにする。次々と判明する驚愕の事実。そしてぼくは、雨の日にしか会えない千波を、いつしか愛し始めていた。名手が描く、奇跡のラブ・ストーリー。


ここから、ようやく昨年10月に読んだ本の感想に入ります。

松尾由美の作品の感想を書くのはこれが初めてですね。
松尾由美といえば、変な作品! (念のため、褒め言葉です)
ミステリでは、「バルーン・タウンの殺人」 (創元推理文庫)「安楽椅子探偵アーチー」 (創元推理文庫)も変だったし、サスペンスでは「ブラック・エンジェル」 (創元推理文庫)も、「ピピネラ」 (講談社文庫)も相当変わっていました。

ですが、この「雨恋」 は、幽霊とか出てきても、まあ、普通です。
路線としては、パラレル・ワールドを扱っていた「スパイク」 (光文社文庫)に近いのかもしれません。
小道具(?)として、「スパイク」 では犬、この「雨恋」 はで猫が使われるという類似点もありますね。

雨の日にしか会えない幽霊...
松尾由美の、透明感ある、とでも言いましょうか、ある意味乾いた文体がぴったりです。
千波の死の真相をさぐる、ミステリ風味も効かせてあります。
自分の死の真相って、結構扱いが難しそうですが、さすがは松尾由美、うまく着地してみせます。
千波とぼく渉の恋物語も、千波が幽霊である以上予想のつく着地を見せるのに、「なーんだ予想通りじゃん」なんて思わず、素直に読めました。

タイトルの読み方は、「あまごい」。ラストに響いてきます。

豊崎由美の解説が素晴らしいので買おうかどうか迷っている人は解説の最初の部分を、読み終わった人は解説を全部読まれるとよいと思います。

それにしても、帯の
「ラスト1ページ、涙が止まらない。」
というのは、いまいちですねぇ。
泣かせる話が世間的には受けるのは確かでしょうが、なんか、じめじめした売り方に思えます。
この「雨恋」 の売り方として、ふさわしいとは思えませんでした。

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No one’s gonna dive


<2016.11.13追記>
双葉文庫でこの作品復活しましたが、タイトルが変更になっています。
題して、「雨の日のきみに恋をして」 (双葉文庫)



雨の日のきみに恋をして (双葉文庫)

雨の日のきみに恋をして (双葉文庫)

  • 作者: 松尾 由美
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2016/10/13
  • メディア: 文庫







タグ:松尾由美
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