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眼球堂の殺人 The Book [日本の作家 周木律]


眼球堂の殺人 ~The Book~ (講談社文庫)

眼球堂の殺人 ~The Book~ (講談社文庫)

  • 作者: 周木 律
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2016/09/15
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
神の書、"The Book"を探し求める者、放浪の数学者・十和田只人(とわだただひと)がジャーナリスト・陸奥藍子(むつあいこ)と訪れたのは、狂気の天才建築学者・驫木煬(とどろきよう)の巨大にして奇怪な邸宅 "眼球堂" だった。二人と共に招かれた各界の天才たちを次々と事件と謎が見舞う。密室、館、メフィスト賞受賞作にして「堂」シリーズ第一作となった傑作本格ミステリ!


第47回メフィスト賞受賞作で、〇〇"堂の殺人"というパターンで、で、目次をみると、「眼球堂の殺人事件」と書いてあって...いかにもな作りで、いかにもな作品ですよね。
帯には、森博嗣が
「懐かしく思い出した。
本格ミステリィの潔さを。」
なんて書いている。
うーん、どうでしょうか。期待しすぎましたか。あるいは、こちらが若い頃に読んでいたらよかったのか...
最近、本格ミステリ、より厳密にいうといわゆる新本格ミステリテイストの作品を読むとこういう感想を抱くようになりました。

奇矯な登場人物に、奇矯な建物。
世界を代表する天才建築家驫木煬(とどろきよう)が建てた建物、眼球堂。集められたのは天才たち。
つまらないと思うわけではないのですが、なにか物足りなく感じてしまうんですよね。
館ミステリにつきものの図面。
38ページとか、42、43ページに掲げられている図、わくわくすんですよね。
でも、これこの数枚の図を見ただけで、
(ネタバレにつき伏字にします)アレ? この館回転するんじゃないの?  アレ? この立地、水が溜まるんじゃないの? (ここまで伏字)
と思ってしまうんですよね。

また、驫木煬の子どもが、善知鳥神(うとうかみ)という天才数学者である、という設定になっています。
でも、館に呼ばれたのは、探偵役をつとめる、放浪の天才数学者十和田只人で、善知鳥神はいない、と。
この設定だけで、
(ネタバレにつき伏字にします)呼ばれている登場人物の中に善知鳥神がいるんだろうな、とすると候補者少ないな。 ってことは、あれか、十和田とくっついているということで冒頭から登場する、陸奥藍子が怪しいよな。叙述トリックかぁ。タイトルと違う目次だったしねぇ。(ここまで伏字)
と思ってしまうんですよね。

で、真相はその通りだったんで、ちょっと残念。
メインとなる部分が、早々に見当ついちゃうと、ちょっとね。

それでも、この作品、おもしろかったかどうかというと、おもしろかったんです。
一昔前でいうところのペダンティックな部分(天才同士の会話とか、建築学があらゆる学問の最上位に来るものだ、とか)も、もっともっと淫してほしいと思ったりもしましたが、この作品には、ミステリが古来持っていた(大げさですが)、稚気、遊び心が溢れているからです。
いわゆる新本格が大切にしていたものを、この「眼球堂の殺人 ~The Book~」 (講談社文庫)はきちんと受け継いでいると確かに感じました。

続々とシリーズが文庫化されていくようなので、追いかけてみたいです。


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