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放課後はミステリーとともに [日本の作家 東川篤哉]


放課後はミステリーとともに (実業之日本社文庫)

放課後はミステリーとともに (実業之日本社文庫)

  • 作者: 東川 篤哉
  • 出版社/メーカー: 実業之日本社
  • 発売日: 2013/10/04
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
探偵部副部長の涼は、推理よりギャグの方が得意だった?
霧ケ峰涼が通う鯉ケ窪学園高校にはなぜか事件が多い。校舎から消えた泥棒、クラスメートと毒入り珈琲一族との関わり、校外学習のUFO騒動、密室状態の屋上から転落した女子…etc.それらの謎を解くはずの涼だが、ギャグが冴えるばかりで推理はなぜか発展途上。解決へ導くのは探偵部副部長なのか、それとも意外なあの人か? ユーモア学園推理の結末は?


もうこのシリーズの次作「探偵部への挑戦状 放課後はミステリーとともに」 も文庫化されていますね。
この「放課後はミステリーとともに」 は、連作短編集で、8話収録です。
チラシがはさまっていまして、それから写しておくと、
「霧ヶ峰涼の屈辱」
鯉ヶ窪学園高等部のE館で発生した盗難事件。涼が先輩や警備員と犯人を追いかけたが、その姿が館内で消失してしまった。
「霧ヶ峰涼の逆襲」
学園芸能クラス出身の女優の部屋を張り込む芸能カメラマン。涼がカメラマンの愚行を止めようとした時、当の女優が現れたが……。
「霧ヶ峰涼と見えない毒」
涼は親友にしてクラス委員の高林奈緒子居宅を訪れた。奈緒子の居候先の祖父が、珈琲毒殺未遂事件に巻き込まれたというのだ。
「霧ヶ峰涼とエックスの悲劇」
流星雨観測の夜、国分寺上空にUFOらしき飛行体が出現。UFO愛好家・地学の池上先生と涼はその物体を追いかけることに。
「霧ヶ峰涼の放課後」
体育倉庫から煙草の煙が。涼と奈緒子は体育倉庫の掃除道具入れで不良の荒木田を捕まえたが、肝心の煙草はどこに?
「霧ヶ峰涼の屋上密室」
学園裏門近くで、女生徒が突如落下。運悪く教育実習生に当たってしまった。居合わせた涼が、女生徒がいたらしき屋上で見たものは。
「霧ヶ峰涼の絶叫」
陸上部の自称スーパースター、走り幅跳び選手の足立が砂場で倒れていた。だが、砂場には足立以外の足跡がなかったのだ。
「霧ヶ峰涼の二度目の屈辱」
またもE館で事件発生。涼が美術室で昏倒している荒木田を発見。逃げる犯人は学生服姿だから間違いようがないはずだが……。


冒頭の「霧ヶ峰涼の屈辱」はミステリとしてはかなり常識的な解決を見せますので、喰い足りないといえば喰い足りないのですが、作者と編集部が「第1話『霧ヶ峰涼の屈辱』からお読みいただくようお願いいたします」という由縁の仕掛けがあるので、つかみはOKですね。(まあ、その仕掛けも他愛ないといえば他愛ないですが)
で、第2話の「霧ヶ峰涼の逆襲」が、平凡そうな舞台装置でツイストを効かせてあって〇。これがこの作品集の中では個人的にベスト。第1話「霧ヶ峰涼の屈辱」のあとに、この「霧ヶ峰涼の逆襲」が置いてあるというのも、いいではないですか。
次の「霧ヶ峰涼と見えない毒」のトリックは、正直つまらない。一転して「霧ヶ峰涼とエックスの悲劇のトリックは、その絵面のばかばかしさに和みますが、UFOと絡ませてあるのは優れているなぁ、と。
「霧ヶ峰涼の放課後」がまたつまらないトリックでがっかりするところへ、「霧ヶ峰涼の屋上密室」のシチュエーションがトリックそのものというような設定に少し感心。
「霧ヶ峰涼の絶叫」は、ちょっと作品にしたことを後悔してほしいくらいの無理さ加減ですが(砂場でのこのトリック? はないなぁ)、ラストの「霧ヶ峰涼の二度目の屈辱」は、第1話「霧ヶ峰涼の屈辱」と同じ設定の謎を違う形で解決し、そのほかにも第1話と呼応するところをちりばめた趣向に満足できる。

というように、1冊の中でアップダウンの激しい作品集なわけですが、どことなく、なんとなく愛すべき短篇集のような気がしました。
シリーズ第2作も、きっと読みます。



<蛇足>
アルファベットのEの書き順、
「よっぽどのひねくれ者でないかぎり、横、縦、横、横、横の順に棒を引いたはずである」(13ページ)
と書かれているのですが、アレ? 僕、違う書き順で書いてますね....




タグ:東川篤哉
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