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ヒートアップ [日本の作家 中山七里]


ヒートアップ (幻冬舎文庫)

ヒートアップ (幻冬舎文庫)

  • 作者: 中山 七里
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2014/08/05
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
七尾究一郎は、おとり捜査も許されている厚生労働省所属の優秀な麻薬取締官。製薬会社が兵士用に開発した特殊薬物“ヒート”が闇市場に流出し、それが原因で起こった抗争の捜査を進めていた。だがある日、殺人事件に使われた鉄パイプから、七尾の指紋が検出される……。誰が七尾を嵌めたのか!? 誰も犯人を見抜けない、興奮必至の麻取(マトリ)ミステリ!



「レディ・ヴィクトリア 新米メイド ローズの秘密」 (講談社タイガ)に続いて読んだ、9月5冊目の本です。
「魔女は甦る」 (幻冬舎文庫)(感想ページへのリンクはこちら)の続編です。

前作の感想を書いたとき、薬物「ヒート」の存在をぼかして書いたのですが、この「ヒートアップ」では当たり前のことながら、あっさり明かされていて、上に引用したあらすじにも明記されています。
そのほかにも「魔女は甦る」の設定をいくつも引き継いでいますので、順に読まれることをお勧めします。

今度はその「ヒート」を麻薬捜査官(麻取)が追いかける、という枠組みです。
中山七里のことですから、一筋縄ではいきませんよ。
第一章で書かれていますので、明かしてしまいますが、なんと、組織暴力団(ヤクザ)・宏龍会の幹部山崎岳海と手を組むというのです。
異色のバディもの、という感じ? バディという語を使って感じましたが、中山七里は作品を頭の中で映画でも作っている感じで組み立てているのかもしれませんね。

(麻取と仲の悪い)警察、暴走族、チャイニーズマフィアと様々な関係者が入り乱れて進んでいって、
途中、主人公である七尾が警察に殺人犯として捕まってしまいます。
そして紆余曲折を経て、最後は舞台をある場所に移して、大活劇となります。
うーん、どうでしょうか、この活劇は。なんとなく、主人公たちは都合よく逃れられたような気がしてなりません。絶体絶命で本当に絶命しちゃうんじゃないなぁ。(が、大半のハリウッド映画もよくやった、というよりは都合よくいったなぁと思うほうが多いので、こういう作品はそういうものなのかもしれませんが)。

七尾が陥れられる際の、指紋のトリックはまったく重きが置かれていませんので明かしますが、実につまらないですね。採取した指紋そのものを複製することができる、と言われてもなぁ...こんな夢のないトリック、いやだ。
ミステリのトリックって、(ある程度)現実的でないといけないものの、現実的であっても楽しめないものですね。

そして中山七里お得意の最後のどんでん返し。今回は小規模でしたでしょうか。不発とまでは申しませんが。

粗いところも多々ありますが、全般にはスピーディに読める良い作品だったと思います。
脱サラで転職でヤクザになった山崎のキャラクターが家族も含めておもしろかったので、彼らにはまた別の作品で出会ってみたいですね。





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