仮面病棟 [日本の作家 た行]
<裏表紙あらすじ>
強盗犯により密室と化す病院
息詰まる心理戦の幕が開く!
療養型病院に強盗犯が籠城し、自らが撃った女の治療を要求した。事件に巻き込まれた外科医・速水秀悟は女を治療し、脱出を試みるうち、病院に隠された秘密を知る―。閉ざされた病院でくり広げられる究極の心理戦。そして迎える衝撃の結末とは。現役医師が描く、一気読み必至の“本格ミステリー×医療サスペンス”。著者初の文庫書き下ろし!
5月に読んだ8冊目の本です。サイン付きの本を紀伊国屋書店で買いました。知念さんの本を読むのは初めてです。
話題作、というのでしょうか。少し前まで本屋さんで大きく平積み展開されていました。
帯に「怒涛のどんでん返し!! 一気読み注意!」と書いてあります。
一気読み、しました。おもしろかったですね。
ただ、確かにどんでん返しが仕掛けられていますが、あまりどんでん返し、どんでん返しと声高に宣伝してまわらないほうがいい作品ではないかと思いました。
病院を舞台に、一晩の出来事を描いたスピーディな作品です。
ピエロのマスクをかぶった男が、人質連れで病院へやってきて立て籠もる。
単なる立て籠もりかと思いきや、途中、病院の抱える秘密が暴かれていく...
このあたりでミステリを読みなれている読者であれば仕掛けに見当がついてくるんじゃないかと思います。
一方でちょっと安直かな、と思うところもないではないですが、非常にスピーディーな中で、よく考えられていると思いましたし、楽しい作品でした。
また、物語の展開上あまり意識されないのかもしれませんが、「そして誰もいなくなった (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)」のバリエーションになっているのでは、と思いました。あるいは「十角館の殺人 (講談社文庫)」のバリエーションというほうが近いかもしれません。(ともに、書いてしまっても妨げにはならないと思いましたが、予断を与えないよう為念伏字にしておきます)
この辺も実は読みどころなのではないかと思いました。
知念さんのほかの作品もぜひ読んでみたくなりました。
コメント 0