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人形パズル [海外の作家 パトリック・クェンティン]


人形パズル (創元推理文庫)

人形パズル (創元推理文庫)

  • 作者: パトリック・クェンティン
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2013/03/21
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
時勢ゆえ戦争に駆り出され、海の男になったピーター・ダルース。久方ぶりの休暇を愛妻アイリスと水入らずで、と思いきや好事魔多し。宿の手配に右往左往、大事な軍服を盗まれ、あげく殺人の容疑者に仕立てられる始末。軍務復帰まで三十時間、警察に引っ張られるなんて冗談じゃない。私立探偵コンビの助力を得て逃避行と真相究明が始まり……。謎が謎を呼ぶ、パズルシリーズ第三作。


「迷走パズル」 (創元推理文庫)「俳優パズル」 (創元推理文庫)に続くシリーズ第3作です。

創元推理文庫ではちょくちょくあることですが、表紙をめくった扉のところのあらすじを引用しておきたいと思います。
プロデューサー業をしばし離れて、ピーター・ダルースは海軍中尉。ようやく取れた休暇が、愛妻の誕生日と重なった。アイリスも撮影を抜け出し久々の逢瀬を楽しむはずが、不案内な土地で宿が見つからない、軍服を盗まれる等災難続き。それが序の口だったとわかるのは、アイリスの従妹を訪ね、胸に刺さった短刀を見たときだった。現場にはピーターを犯人に擬する工作が施され、さては軍服盗難もその一環かと気づいたが後の祭り。気にいい私立探偵コンビの手を借りつつ人目を忍んで真犯人探しに奔走するダルース夫妻に、水入らずの時は訪れるのか。

うん、こちらの方がわかりやすいぞ。

12月に読んだ5冊目の本です。
ダルース、海軍中尉になっちゃったのか...と、まずはそこに驚きました。対日戦争で頑張ったんだねぇ...ちょっと複雑な気分。
まあ、そんなことは作品の出来栄えにはまったく関係がないので、おいておくとして...

すごくスピーディーに話が進んでいくのが素敵な作品で、東京から新大阪までの新幹線で一気読みしました。巻き込まれ型サスペンスとしてとても楽しめました。

なんとかホテルが確保できたとおもったら、サウナで軍服を盗難されるとは。
「支配人が飛んできて、その後にロッカー係のボーイがついてきた。わたしは不機嫌にいきさつを説明した。いつの間にかタオルをどこかへやっており、素っ裸で支配人に文句をいうのはいささか具合が悪かったが、どうしようもなかった」(30ページ)
この情景だけで十分おかしい。
「アイリスは面白おかしく思っただけのようだ。わたしが素っ裸で支配人を叱責している場面を想像して遠慮なく笑ったが」(39ページ)
そりゃあ、笑うでしょうねぇ...

このあとも次から次へとほぼ休む間もなくいろいろなことが勃発し、ラストのサーカスの場面までずーっと疾走している感じです。
「迷走パズル」「俳優パズル」に出てきたレンツ博士が出てこないので本格ものではなくなりましたが、真犯人の見当がつきやすかったって構いません、こういうサスペンスも大好きなので満足です。

シリーズ次作「悪女パズル」 (扶桑社ミステリー)は昔読んでいるのですが、忘れちゃっているので読み返した方がいいかな??

<蛇足1>
「わたしは確かにそういった。馬鹿馬鹿しいと。
 ミセス・ラインハートの永遠の決まり文句はこうだ。“もし私が知っていたら……”。」(21ページ)
という文章が出てきます。おお、ラインハート。「螺旋階段」の M.R.ラインハートですね。なんと懐かしい名前...


<蛇足2>
「そして誰もが、音楽的才能の差はあれど、高らかに結婚行進曲を歌っていた」(171ページ)
とあります。結婚行進曲って、歌詞があるんですね。それも誰もが歌えるほどポピュラーな...

<蛇足3>
こういう巻き込まれ型で、あんまり論理的に考えずに行動する主人公の一人称は、「わたし」ではなく「ぼく」の方が向いていると思ったのですが。
「わたし」は「ぼく」よりも少しは思慮深い一人称のような気がします。


原題:Puzzle for Puppets
作者:Patrick Quentin
刊行:1944年
訳者:白須清美





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