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海の底 [日本の作家 あ行]


海の底 (角川文庫)

海の底 (角川文庫)

  • 作者: 有川 浩
  • 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
  • 発売日: 2009/04/25
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
4月。桜祭りで開放された米軍横須賀基地。停泊中の海上自衛隊潜水艦『きりしお』の隊員が見た時、喧噪は悲鳴に変わっていた。巨大な赤い甲殻類の大群が基地を闊歩し、次々に人を「食べている」! 自衛官は救出した子供たちと潜水艦へ立てこもるが、彼らはなぜか「歪んでいた」。一方、警察と自衛隊、米軍の駆け引きの中、機動隊は凄絶な戦いを強いられていく――ジャンルの垣根を飛び越えたスーパーエンタテインメント!!


有川浩の自衛隊三部作、
「塩の街」 (角川文庫)
「空の中」 (角川文庫)
に続く第三作です(「空の中」の感想ページへのリンクはこちら)。
作者有川浩によると有川式大人ライトノベル第二弾。
「海の底」を読んだのは手元の記録によると2015年10月。「空の中」を読んだのは2015年6月でしたから、意外と間を開けずに読んだのですね。

なんだかわからないけど、海からやってきた大量の巨大なザリガニに襲われる、という話です。
舞台が米軍横須賀基地と潜水艦で、自衛隊三部作というと、さぞかし派手にドンパチやるんだろうな、と思いきや、そうならないところがポイントでしょうか。
地上では、いかに戦うか、が大きな問題となります。
なにしろ軍事法制がでたらめな日本のこと、警察や機動隊が出動し、さてどうやって自衛隊にお出まし願うか。お出ましになったらなったで、武器を使っていいのやら...こういうの好きですね。
よくウルトラマンなど怪獣と闘う作品に対して、最初から「必殺技出せよ!」というツッコミがありますが、日本という国自体がそれに対する回答なんですね...
「俺たちはそういう国の役人だ」
「次に同じようなことがあったら今より巧くやれるようになる、そのために最初に蹴つまずくのが俺たちの仕事なんだ」(419ページ)
つらい立場ですが、なんだかよくわかる気がしてしまいます。

一方で、海上自衛隊潜水艦『きりしお』の方は、子供たちと問題自衛官二人という構成で、超非常事態なんですが、なんだかキャンプみたい。
夏木大和三尉、冬原春臣三尉という同期二人と、子供たちの中では最年長(高3)で紅一点の森生望のキャラクターがポイントでしょうか。あとは問題児遠藤圭介(中3)。
ラスト(460ページ以降)で圭介が見せる感情は、なかなかの見せ場だと思います。
「きっとこれから、面倒くさいことをいろいろと知るのだ。気づかないほうが楽だったことを、たくさん。
 それでも、気づかず楽だったときの自分が好きではなくなってしまったのだから今さら元に戻ることはできなかった。」
当初の圭介では考えられない境地ですね。

あらすじは、大森望の解説がきわめて要領よくまとめていますので、本書を読もうかどうか迷った時は、解説を先に読んでお確かめください。

ラストシーンは、いいシーンだと思いましたね。
夏木と望、ロマンスはきちんと成就しなければねっ。

ずいぶん間が開いてしまいましたが、番外編の「クジラの彼」 (角川文庫)も読まなければ。


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