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マスカレード・イヴ [日本の作家 東野圭吾]

マスカレード・イブ (集英社文庫)

マスカレード・イブ (集英社文庫)

  • 作者: 東野 圭吾
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2014/08/21
  • メディア: ペーパーバック

<裏表紙あらすじ>
ホテル・コルテシア大阪で働く山岸尚美は、ある客たちの仮面に気づく。一方、東京で発生した殺人事件の捜査に当たる新田浩介は、一人の男に目をつけた。事件の夜、男は大阪にいたと主張するが、なぜかホテル名を言わない。殺人の疑いをかけられてでも守りたい秘密とは何なのか。お客さまの仮面を守り抜くのが彼女の仕事なら、犯人の仮面を暴くのが彼の職務。二人が出会う前の、それぞれの物語。


「マスカレード・ホテル」 (集英社文庫)(感想ページへのリンクはこちら)に続くシリーズ第2弾なのですが、この「マスカレード・イブ」 (集英社文庫)は、「マスカレード・ホテル」 の前日譚ともいうべき短編集です。
第1話『それぞれの仮面』と第3話『仮面と覆面』が、ホテルマン・山岸尚美の話、第2話『ルーキー登場』が新田刑事の話、そして第4話『マスカレード・イブ』で両者が微妙に交差する(微妙に交差、というのは二人が直接会いませんし、その存在を意識したりはしないからです)、という形になっています。

興味深いのは第3話『仮面と覆面』ですね。
覆面作家とそのストーカーを取り扱っているのですが、その名前が玉村薫!
遊びすぎですよ、東野さん。ただ、真相(?) は見抜けてしまいました。

ミステリ的にはやはり一番長い表題作の『マスカレード・イブ』ですね。
手垢のついたトリックといってもいいトリックを使っているのですが、これには感心しました。
引用している裏表紙あらすじは、この『マスカレード・イブ』のものなのですが、そこでいう「殺人の疑いをかけられてでも守りたい秘密」にはびっくりを通り越して、笑えてしまいます。この点で、薔薇の香水という小道具もとても気が利いていると思いました。

シリーズは次作「マスカレード・ナイト」(集英社)が昨年出ていますね。文庫になるのを楽しみに待ちます。

<蛇足>
第1話のラストで山岸尚美が客にかける言葉は、ホテルマンのプロとしてアウトだと思います。
「私どもは、どんなにお金を積まれても、お客様の仮面に隠された本当の顔をほかの方に教えることは絶対にございません。その素顔が美しいならともかく、醜ければなおのことです」(61ページ)
伏字で引用しておきます。
この作品の段階で山岸尚美は未だ駆け出しのフロントマンだから仕方ないのかもしれませんが、山岸尚美らしくないセリフだと気になりました。



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