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憂国のモリアーティ 2 [コミック 三好輝]


憂国のモリアーティ 2 (ジャンプコミックス)

憂国のモリアーティ 2 (ジャンプコミックス)

  • 作者: 三好 輝
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2017/03/03
  • メディア: コミック


<裏表紙あらすじ>
死こそが人の心を動かす──
陸軍内で、麻薬組織掃討の気運が高まる中、極秘の特務機関創設の情報を得たアルバート。
直後、ロンドンを訪れたウィリアムが何者かに攫われて──!?
国に巣くう歪みを正すため、モリアーティが仕立てる鮮烈な“犯罪劇"がついに始まる!!


「憂国のモリアーティ」 (ジャンプコミックス)(感想ページへのリンクはこちら)に続く第2巻。
表紙は、シャーロック・ホームズ。品のない姿かたちですが(失礼!)、意外とこんなものだったのかもしれませんね。

#4  伯爵子弟誘拐事件 (The Case of the Noble Kidnapping)
#5,6 ノアティック号事件 第一幕、第二幕 (The "Noahtic" Act 1, Act2)
#7  シャーロック・ホームズの研究 第一幕 (The Study in "S" Act 1)
を収録しています。

「伯爵子弟誘拐事件」は着地が派手ですねぇ。
蔓延しているアヘンを退治しようと陸軍省や政府などでアルバートが頑張るシーンで幕を開けるのですが、そのあと伯爵子弟が誘拐されて...と急展開するんですが、誘拐されるのがジェームズ・モリアーティだというのですから、まあ、仕掛け・舞台裏の見当がつくというもの。
情報部特務機関、のちのMI6誕生秘話、ともいえるストーリーになっているのはかっこいいのですが、最後に
「莫大な資金とアヘンの流通ルートを手にした」
と言っていて、あれ? イギリスに浸透していっているアヘンはそのままにして資金源にするんでしょうか?
それはちょっと困るなぁ...

「ノアティック号事件」の冒頭で、モリアーティの狙いがふたたび明示されます。
国の歪みを正したい。その根幹にある貴族・階級制度を打破したい、というものなのですが、
「犯罪によって街は舞台(ステージ)と化し 市民は犯罪を目撃する観客となるーー」
「そして観客に見せるべき題目(テーマ)は この世界の歪みが最も顕になるような”死”ーー
 僕達が演出し飾り立て意味を持たせた”死”こそが 真に人々の…この国の目を覚まさせ事になる」
制度は直ぐには変えられないが、人の心は変えられるから、というのですが、この手段が正しいのかどうか、ちょっと疑問ですね。ただ、まあ、こうしないと物語が転がっていきませんが。
で、これを受けた最初の事件が、ノアティック号という豪華客船を舞台にした事件です。
雑な部分もありますが、貴族をだましていく手口は楽しいですね。
注目はやはり、シャーロック・ホームズの登場でしょうか。
かなり衝撃的な登場の仕方をします。
「一つ一つ可能性を潰していけばどんな有り得なさそうな事でもそれが真実なんだ」
という有名なセリフもきっちりと登場します。
ホームズは、モリアーティの仕組んだ裏に気づくのですが、(当時の)警察ではわからない、ホームズだからわかる道筋が立ててあるのがいいですね。
もう一つ、この話で気になるのは、138ページで、フレッドが民間人の死を使用したプランだったことを気にしているかのようなシーンがあること。ホームズ登場の陰に隠れたようなエピソードですが、将来の波乱要因かもしれませんね。

「シャーロック・ホームズの研究」はモリアーティたちはあまり出てこず、シャーロック・ホームズに焦点が当たります。
モリアーティによれば、
「僕達が仕立てる犯罪をより多くの民衆に周知するために必要なもの
 民衆がその境遇に賛同できる”犯人”
 そして貴族の腐敗を世間に暴く”探偵”」
ということで、その”探偵”役にホームズを活用しようというのです。
「今回は彼にその適性が有るかどうかを試すオーディションだ」と。
いやあ、完全にホームズを下に置いてますね。正典ファンが聞いたら激怒しそう...僕は楽しんじゃいましたが。
この話でおもしろいのは、ワトソンが登場すること。そしてその見た目が、ホームズと違って正統派というか、すっきり麗しい感じに見受けられること。
ハドソン夫人もお茶目に登場しますが、原作はもっと年配のイメージではなかったかと思うんですが、すごく若いハドソン夫人です。
この2巻収録部分では事件は起きず、ホームズ、ワトソン、ハドソン夫人のお披露目のイメージ。
ラストでレストレード警部が登場し、いよいよホームズ物語はじまりはじまり~かと思ったら、ホームズを逮捕するところで、エンド。
第3巻が楽しみです!


<蛇足>
巻頭の人物紹介のところに、STORY とあって前巻「憂国のモリアーティ 1」のあらすじが紹介されているのですが、ミステリ的にはネタバレを含んでいますので、未読の人は(まあ、そんな人はこの2巻を手に取らないでしょうが)ご用心を。

<蛇足2>
巻末のおまけまんがに出てくる、スターゲイジーパイ
この料理そのものを知らなかったんですが、「パイ生地から魚の頭部や尾部が突き出しているのが主な特徴」って、これは嫌だなぁ。

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