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世界が終わる街: 戦力外捜査官 [日本の作家 似鳥鶏]

世界が終わる街:戦力外捜査官 (河出文庫)

世界が終わる街:戦力外捜査官 (河出文庫)

  • 作者: 似鳥鶏
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2017/10/05
  • メディア: 文庫

<裏表紙あらすじ>
無差別テロを起こし、解散へと追い込まれたカルト教団宇宙神瞠会。教団名を変え穏健派に転じたはずが、一部の信者たちは〈エデン〉へ行くための聖戦 = 同時多発テロを計画していた! 何者かによって命を狙われ続け満身創痍の設楽と海月は、テロ計画を未然に防ぐことができるのか!?


似鳥鶏の
「戦力外捜査官 姫デカ・海月千波」 (河出文庫)(感想へのリンクはこちら
「神様の値段: 戦力外捜査官2」 (河出文庫)(感想へのリンクはこちら
「ゼロの日に叫ぶ: 戦力外捜査官」 (河出文庫)(感想へのリンクはこちら
に続く戦力外捜査官シリーズ第4弾です。

さて、設楽&海月コンビは今度はどんな大災害を呼び寄せるのかな、というのが読者の興味なわけですが、そのあたりは文庫版あとがきにも触れてありまして、
「本シリーズには『東京テロ図鑑』とでもいうべき側面があります。ストーリーを考える際には『どうすれば東京でよりたくさんの被害者を出せるか』のアイディアを出す、という部分があり....」
と書かれています。
今度のテロは、表紙でおわかりになるかもしれませんが、電車を利用したものです。

また、主人公が警察側、つまりテロを防ぐ側なので、いかにそのテロを抑え込むかというのがポイントになるわけですが、これがまたとても楽しいです。
海月警部と設楽巡査の主人公コンビの活躍だけではなく、一般人の活躍も描かれるのがこのシリーズの特徴ですが、今回は鉄道が舞台なので、指令室が出てきまして、そのシーン(286ページから、など)は読んでいてぞくぞくしました。

鉄道のテロ、というとどうしてもオウム事件を連想します。
犯人サイドが「神様の値段: 戦力外捜査官2」にも登場したカルト教団宇宙神瞠会の残党というのも手堅い設定ですね。

あと一人、とても重要な人物がいました。
「ゼロの日に叫ぶ: 戦力外捜査官」にも出てきた ”名無し” です。
無敵すぎて怖いですが、かっこいい。
名無しを主人公に据えたスピンオフ書いてくれないものでしょうか? 絶対読みます(いや、似鳥鶏の作品なら名無しが主人公じゃなくても絶対読むんですけどね...)

次はなんだろうな。
続く
「破壊者の翼 戦力外捜査官」(河出書房新社)
にも期待します!


<蛇足>
辻真先の解説が
「ミステリ作家は嘘つきでSF作家は法螺吹きであると、誰かがいったそうです。」
で始まっていて、なるほどなー、と思いました。
蛇足ついでに、
「似鳥鶏と警察小説の間には径庭があると思っていたのに」
とありまして、不勉強で径庭の意味を知らなかったので勉強になりました。
二つのものの間にある隔たり。懸隔。らしいです。

不勉強ついでに書いておきますと(変な書き方ですみません)、
「一週間が経過しても全く軽快しないほど」(287ページ)
というところの、軽快、も知りませんでした。
1 軽々としていて、動きのすばやいこと。また、そのさま。「軽快な身のこなし」
2 軽やかで、気持ちがよいこと。また、そのさま。「軽快なリズム」
3 病気がよくなること。症状が軽くなること。「手術が成功してかなり軽快する」
とのことです。

<蛇足2>
ラストシーンで、小田原線の電車内で文庫本を読む少女というのが登場するのですが(ついでで恐縮ですが、このラストシーンもなかなかいいシーンだと思います)、読んでいるのが津村記久子
どうしてミステリにしなかったんですか? 似鳥さん!!

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