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シナモンロールは追跡する [海外の作家 ジョアン・フルーク]

シナモンロールは追跡する (お菓子探偵)

シナモンロールは追跡する (お菓子探偵)

  • 作者: ジョアン・フルーク
  • 出版社/メーカー: ヴィレッジブックス
  • 発売日: 2014/10/20
  • メディア: 文庫

<裏表紙あらすじ>
4月、〈レイク・エデン・イン〉のジャズフェスティバル前日、ハンナと末妹ミシェルはお菓子を届ける途中で玉突き事故に遭遇。 人気バンドのツアーバスも巻きこまれ、運転手が死亡、メンバーの一人は搬送先の病院で何者かに殺害されてしまう。 姉妹は犯人探しを開始するが、ハンナにはもう一つ、結婚式間近のノーマンの婚約者ベヴについてどうにも気になることが。 こちらもこっそり調べはじめるが……。


先日の「新聞王がボストンにやってきた」 (創元推理文庫)(ブログの感想ページへのリンクはこちら)があまりに心地よかったので、続けてコージー・ミステリが読みたくなって、この「シナモンロールは追跡する」 (ヴィレッジブックス)を手に取りました。

レイク・エデンでクッキー・ジャーを運営しているハンナが探偵役をつとめるお菓子探偵シリーズ第15弾です。
前回感想を書いた「アップルターンオーバーは忘れない」 (ヴィレッジブックス)(感想ページへのリンクはこちら)のあと「デビルズフード・ケーキが真似している」 (ヴィレッジブックス)を読んでいるのですが、感想を書けずじまいとなっています。
「デビルズフード・ケーキが真似している」のラストで、なんとノーマンが婚約するという衝撃の展開になっているのですが...

この「シナモンロールは追跡する」は、レイク・エデンにジャズ・バンドがやってきて、殺人事件が起こります。
登場人物が多岐にわたり、作者はうまく犯人を紛れ込ませたつもりなんだと思いますが、逆に真犯人の見当がつきやすくなってしまっているように思います。いわゆる”浮いた”エピソードが目立ってしまうからです。
一方で、多数の登場人物たちをいろいろと交錯させているプロットはよくできているかな、と思えました。

しかしねぇ、ノーマン問題の方は、すっきりしたといえばすっきりしたんだけど、どうなんでしょうか? あまりにも都合よく展開しすぎではありませんか!?
いよいよノーマンの結婚式の日取りが決まって、206ページから、ドロレスとアンドリアとミシェルの3人がハンナにつめより、「どうするつもりだ」とたきつけ、「みんなでやるのよ」「ノーマンのために闘うか、何もせずにあきらめるか」と煽って、「ドクター・ベヴをやっつけるためにわたしたちの作戦について話すわ」と流れていくのは、シリーズ読者にとって楽しい展開だし、ハンナの変装とか見どころ満載なんですが、あまりにもうまく行き過ぎて、ちょっとねぇ...
いや、そのままノーマンが結婚しちゃってもよかった、というわけではないですが。複雑な気分ですね。
その動きにマイクまで賛成するという成り行き...3人は、Ménage à trois ということなんでしょうか!?
ミステリ的なことを付け加えておくと、ぺヴに伏線となるような行動をもっととらせていれば、こういう感想も薄まったと思うんですが。

ところで、ノーマンの話とバンドマン殺しですっかり置き去りにされていましたが、運転手が死んだのはなんだったんでしょうか?
訳者あとがきによると次作「レッドベルベット・カップケーキが怯えている」 (ヴィレッジブックス)で、「シナモンロールは追跡する」で未解決だった事件の真相が明らかになるそうなので、これがそれだと信じて次に期待します!

「新聞王がボストンにやってきた」のルーシー・ストーンシリーズと違い、こちらは順調に邦訳が積み重なっています。
「レッドベルベット・カップケーキが怯えている」 (ヴィレッジブックス)
「ブラックベリー・パイは潜んでいる」 (ヴィレッジブックス)


<蛇足1>
「彼女はその……」「グルーピーってやつだと思う」(96ページ)
グルーピーって、すごい久しぶりに目にした表現な気がします。

<蛇足2>
「わたしが殺人事件の話をすると、いつも大勢お客さんが来るから」(127ページ)
とリサが言うシーンがあり、確かにその通りなのですが、この分だといずれ、客を増やすために、ハンナかリサが殺人事件を自作自演する、なんてシリーズ作品ができたりして...


原題:Cinnamon Roll Murder
著者:Joanne Fluke
刊行:2012年
訳者:上條ひろみ


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