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絶海ジェイル Kの悲劇’94 [日本の作家 は行]


絶海ジェイル Kの悲劇’94 (光文社文庫)

絶海ジェイル Kの悲劇’94 (光文社文庫)

  • 作者: 古野 まほろ
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2014/01/09
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
先の大戦中、赤化華族の疑いをかけられ獄死したはずの祖父・清康が生きている。そう聞かされた天才ピアニストのイエ先輩こと八重洲家康は、後輩の渡辺夕佳とともに絶海の孤島・古尊島(ふりそんとう)を訪れる。だがそこは厳重な一望監視獄舎(パノプティコン)を擁する監獄島であり、思いもよらない罠が二人を待ち受けていた。家康は50年前の祖父と同じ方法で、命をかけた脱出劇を再現できるのか!?


「群衆リドル  Yの悲劇’93」 (光文社文庫)(ブログの感想ページへのリンクはこちら)に続くシリーズ第2弾で、今回は孤島もの、というか、監獄もの、というべきでしょうか?
八重洲家康は、渡辺夕佳とともに囚われとなり、50年前に祖父たちがどうやって脱獄を成し遂げたのかを、同じような状況を体験しつつ探り、同様に脱獄する、というお題です。
そのさなかに連続殺人も起こる、と。

古野作品を読むのは3冊目で、こちらもずいぶん慣れてきたものの、まだまだ読みにくさは健在です。
「藩屏」(195ページ)なんて辞書引かないと意味わかりませんし、「リタルダンド」(160ページ)も知りませんでした。「給金」に「しんしょう」(256ページ)とルビが振ってあるのはいいとしても、「しんしょう」が普通はどんな字で書かれてどういう意味かがわかりません。「載歩譲って」(137ページ)なんて検索しても出てこないですし......
こういう独特の字遣いを別にしても、文章自体が馴染みにくくできています。

読みにくいのを我慢して読み進んで得た答えが、この作品の場合、ちょっとねぇ......
これは反則というか、大きく期待外れというか......
脱獄したのが、貴族の頂点である公爵で、お金持ちだった、ということだから致し方ないのかもしれませんが、この方法には正直がっかりです。
そうですねぇ、たとえて言うなら、知恵の輪を力まかせに壊して外してしまう、みたいな感じでしょうか?
もっともミステリで脱獄ものといえば、フットレルの「十三号独房の問題」だと思いますが、それに照らして考えれば、当然のトリックなのかもしれませんが....(そういえば、「十三号独房の問題」にもがっかりしたなぁ...)
細かい部分を支える数々のトリックも、鮮やかさに欠けるというか、切れ味を感じないんですよね...むしろ、ずるい、という印象だけが残ったような。

と、くさしてしまいましたが、古野まほろには何かある、何かやってくれる、という期待感はかえって強くなった気がします。
作者の術中にしっかりはまった、ということかもしれませんね....









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