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天空の矢はどこへ? [日本の作家 森博嗣]

天空の矢はどこへ? Where is the Sky Arrow? (講談社タイガ)

天空の矢はどこへ? Where is the Sky Arrow? (講談社タイガ)

  • 作者: 森 博嗣
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2018/06/22
  • メディア: 文庫

<裏表紙あらすじ>
カイロ発ホノルル行き。エア・アフリカンの旅客機が、乗員乗客200名を乗せたまま消息を絶った。乗客には、日本唯一のウォーカロン・メーカ、イシカワの社長ほか関係者が多数含まれていた。時を同じくして、九州のアソにあるイシカワの開発施設が、武力集団に占拠された。膠着した事態を打開するため、情報局はウグイ、ハギリらを派遣する。知性が追懐する忘却と回帰の物語。


Wシリーズの第9作です。
今回の舞台は阿蘇です(アソと書かれています)。

ここ数冊シリーズ終盤に向かっているからか、思索的な部分が減ってきたかな、と思っていたのですが、本書のエピソードで、ずっしりと重い思索が登場します。
いつものようにその分を引用して書いてしまっては、ネタバレ、に該当してしまうことになるだろうと思うので当該部分の引用は避けますが、
「ああ、今の話は……、ちょっと感動しました」(273ページ)
とハギリが感想を述べている、ということは触れておきたいと思います。

「九州のアソにあるイシカワの開発施設が、武力集団に占拠された」というあらすじから、おっ、戦闘シーンがあるな、これは、と期待したら(何を期待しているのだ、と叱られるかもしれませんが、このシリーズの戦闘シーン、なんだか愉しいんですよね)、肩透かしでしたね。
その分(?)、キガタが宇宙に飛び出します。

他の森作品につながる固有名詞もふんだんに登場するようになってきています。
クジ博士、ロイディ、ミチル......

次の「人間のように泣いたのか? Did She Cry Humanly?」 (講談社タイガ)でシリーズ完結なんですよね。
いったいどういう着地を見せるのでしょうか...,,,
この「天空の矢はどこへ? Where is the Sky Arrow?」 (講談社タイガ)には
「マガタ・シキが生きているかどうかを、今の僕は疑っていない。」(197ページ)
なんて刺激的な部分もありますしね。
楽しみです。

いつものように英語タイトルと章題も記録しておきます。
Where is the Sky Arrow?
第1章 歩き回る Getting around
第2章 通り抜ける Getting through
第3章 逃げていく Getting away
第4章 乗り越える Getting over
今回引用されているのは、レイ・ブラッドベルの「何かが道をやってくる」 (創元SF文庫)です。



<蛇足1>
『「食事は、経費?」僕はウグイに尋ねた。
 彼女は、僕を威圧的な眼差しで睨んだだけで答えなかった。冗談が通じなかったようだ。下品な精神だと誤解された可能性もある。ウィットというものを、彼女にはもう少し学んでもらいたい。』(36ページ)
おそれながらハギリ博士、ウグイさんだけでなく、ぼくも貴方のウィットはわかりません...(笑)

<蛇足2>
「僕はシチュー定食だったけれど、熱くて食べられない。」(269ページ)
シチューはシチューと書くのですね。シチュではなく。

<蛇足3>
「忙しいようだ。アルミニウムみたいにドライだな、と思った。」(269ページ)
アルミニウムみたいにドライ? どんな雰囲気なんでしょうね?




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