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御子柴くんと遠距離バディ [日本の作家 若竹七海]

御子柴くんと遠距離バディ (中公文庫)

御子柴くんと遠距離バディ (中公文庫)

  • 作者: 若竹 七海
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2017/12/22
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
長野県警から警視庁へ出向中の御子柴刑事。おおむね平穏な生活を送っていたものの、暮れも押し詰まってから次々と事件が発生。さらには凶刃に襲われて! 相棒の竹花刑事は異変を察知し、御子柴のもとに駆けつけるが……。御子柴くんの身に危険と大きな変化がおとずれる、スイーツ&ビターなミステリー第二弾。


「御子柴くんの甘味と捜査」 (中公文庫)(ブログの感想ページへのリンクはこちら)に続くシリーズ第2弾です。
前作感想に、
「これでシリーズ終わらせるのもったいないと思うので、ぜひ、続編書いてください。」
と書いた願いが叶いました!

オープニングの「御子柴くんの災難」がいきなり衝撃的です。
あとがきで作者も
「どうやらわたしには、自分の生み出したキャラクターを千尋の谷に突き落とす癖があるらしい。」
なんて書いていますが、それにしてもこれは......
御子柴くん、すごくいい人なのに......

で、次の「杏の里に来た男」を読んで安心。
あ~よかった、生きてた。
シリーズものなので、死んでしまうはずないんですけど、いやあ、心配しました。
警視庁での三年間の勤務期間が終わり、長野県警に戻っています。
異動先は、千曲川署に新設された〈地域生活安全情報センター〉のセンター長。一見偉くなっていますが、やや微妙な異動です。
それでも御子柴くんはちゃんといい人のままです!

このあと
「火の国から来た男」
「御子柴くんと春の訪れ」
「被害者を探しにきた男」
「遠距離バディ」
と続く、合計6作収録の短編集となっています。

各話ともに、警視庁時代の相方である竹花一樹と御子柴くんとの話がほぼ交互に語られ、連携していきます。
このシリーズの醍醐味の一つに、一見関係なさそうなエピソードがすっと結びついていくところにありますが、東京と長野と結びつけるのが難しそうな設定をものともせず、さすがは若竹七海。
竹花の方も、いいキャラクターで、この二人の活躍を読むのはとても楽しいですね。

小林警部補が定年を迎えて引退し、悠々自適な(と思われる)生活を送っている(17ページ~)こともわかりました。
なので、すっかり出番は少なくなってしまいましたが、ゲスト出演という感じでちらっと出てくると、おおっ、と思いうれしくなりますね。

最後の「遠距離バディ」で、御子柴くん、さらに異動が決まっていて、シリーズの続刊に期待が高まります。
また名産品の数々が登場すると楽しいですね。
期待大です!

<蛇足1>
こちらの勝手な勘違いではありましたが、御子柴くんの年齢に冒頭からびっくりしました。
「三十代も後半戦に入りかけ、自分も上の世代に甘えていられる歳ではなくなった。」(18ページ)
えっ、そんな高めの年齢設定だったんだ...
勝手にもっと若いんだと思い込んでずっと読んでいました。

<蛇足2>
「どっちにしても、ますます、ずくがなくなるな。」(195ページ)
ここに出てくる「ずく」、長野の方言のようです。
「惜しまず働く力」だと goo の方言辞典には書いてありますが、なかなか奥の深い言葉のようです。
「やる気」と言い換えると上のセリフは意味が通りますね。




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