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ワニの町へ来たスパイ [海外の作家 た行]

ワニの町へ来たスパイ (創元推理文庫)

ワニの町へ来たスパイ (創元推理文庫)

  • 作者: ジャナ・デリオン
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2017/12/11
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
潜入任務で暴れすぎたために、敵から狙われる身となった超凄腕CIA秘密工作員のわたし。ルイジアナの小さな町で、自分と正反対の女性になりすまし潜伏するつもりが、到着するなり保安官助手に目をつけられ、住む家の裏の川で人骨を発見してしまう。そのうえ町を仕切る老婦人たちに焚きつけられ、しかたなく人骨事件の真相を追うことに……。型破りなミステリ・シリーズ第一弾。


いやあ、いいです、この本
馬鹿馬鹿しくて、実にいい。

ジャネット イヴァノヴィッチの「私が愛したリボルバー」 (扶桑社ミステリー)から始まるバウンティハンター、ステファニー・プラム・シリーズを思い出しましたが、あちらよりもミステリ濃度は濃い目な気がしましたが、ステファニー・プラム・シリーズを読んだのはずいぶん前なので定かではありません。

主人公が秘密工作でヘマをして身を隠さなければならなくなって、CIA長官の指示で長官の姪になりまし、ルイジアナのちっぽけな田舎町シンフルで蟄居することに......
という冒頭の展開からして、真面目に読む作品ではないことが明らかなわけですが(それ以前に、冒頭から繰り広げられるレディングの語り口からして真面目な作品ではないことがわかります)、その通り、リラックスして気軽に読むのにちょうどよい、ドタバタ展開の作品です。

この種の作品でポイントとなるのは、型破りで、かつ、愛すべき登場人物たち、となりますが、主人公であるレディングもいかれていれば(褒め言葉です、念のため)、町を牛耳るおばあ様たちもいかれています(しつこいですが、褒め言葉です)。
「このふたりのおばあさんたちのことは好きにならずにいられない。」(299ページ)
とレディングも言っていますが、同感。
レディングに目をつける(目の敵にする?)保安官助手・ルブランクもいい感じですね。将来的にシリーズが進めば、レディングといい感じになるのかな? ならないだろうな?

ミステリとしては(いやミステリとして、ではないか......)人骨事件の真相と同時に、町のありようが明かされるのがポイントかと思うのですが、こう書くとネタバレというよりは、ミスリーディングですね。

いやあ、満足しました!
続編「ミスコン女王が殺された」 (創元推理文庫)がすでに翻訳されていて楽しみです。


<蛇足>
「アイスクリームを浮かべたルートビアは完全無欠の飲み物と言っていい。」(167ページ)
げっ、と思いました。ルートビアって、おそろしくまずかったような......それにアイスクリームをON......
しかもこのシーン、アルコール飲料がないことを嘆いて、ルートビアを注文するシーンなんですが、アルコールが欲しかったのにアイスクリームを足すなんて!?





原題:Louisiana Longshot
作者:Jana DeLeon
刊行:2012年
訳者:島村浩子




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