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届け物はまだ手の中に [日本の作家 石持浅海]


届け物はまだ手の中に (光文社文庫)

届け物はまだ手の中に (光文社文庫)

  • 作者: 石持 浅海
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2015/10/08
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
楡井和樹は恩師の仇である江藤を殺した。しかし裏切り者であるかつての親友・設楽宏一にこの事実を突きつけなければ、復讐は完結しない。設楽邸を訪れた楡井は、設楽の妻、妹、秘書から歓待を受ける。だが息子の誕生パーティーだというのに設楽は書斎に篭もり、姿を見せない。書斎で何が起きているのか……。三人の美女との探り合いの果て明らかになる、驚愕の事実とは!?


いいです! この本。面白かったです。お気に入り。
ただし、石持浅海のことですから、相当変ですので、そこはお気をつけて。

主人公で視点人物である楡井が、殺人犯、です。
まあ、そこはいいとして(普通はこれだけでも相当変なのですが)、恩師益子の仇を討ったあと、裏切った友人設楽に復讐を遂げたことを告げに行く、というのが、まず、おかしい。
設楽宅に着いたものの、息子大樹の誕生パーティーといいながら、設楽は書斎にこもって出てこない......
設楽の妻さち子、設楽の妹真澄、そして設楽の秘書遠野の三人と会話を進めながら、設楽に会うチャンスを待つ楡井。
さまざまな違和感を受けて、あれこれ考えをめぐらせる楡井が描かれるのですが、これがとても面白い。石持浅海らしさ全開!

帯に「殺人者と三人の美女の駆け引きと探り合い。」と書いてあるのですが、まさにそんな感じで話が進みます。
この過程だけでも十分おもしろいです。

帯には続けて「この結末は石持浅海にしか書けない!」と書いてあるんですが、真相の予想ついちゃいました......
この真相の予想がついたということは、自分も相当変だということですよねぇ......ちょっと落ち込むことにしますか......(笑)。

この作品、エンディングがまたいいんですよね。
ネタバレなので色を変えて伏字にしておきますが
いい? 一人だけ逮捕されて楽になろうなんて、思わないでね。あなたの破滅はここにいる全員の破滅につながるんだから。
なんてセリフが飛び出して来ようとは......
あと、本当のラストの一行、大樹に向かっていうセリフ
みんなが幸せになる方法を考えていたのよ
というのも傑作ですよね。

大満足の一冊でした。


<蛇足>
『「美少女」と「美女の少女時代」は、似て非なるもの--そんな話を聞いたことがある。美少女とは、子犬のような丸っこさを伴うかわいらしさのことだ。だから往々にして、成長すると平凡な顔だちになる。一方美女は、細い分、幼い頃は貧相に見えるらしい。』(32ページ)
これ、本当ですかね?
美少女の定義が違うのかもしれませんが。



タグ:石持浅海
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