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疾風ロンド [日本の作家 東野圭吾]

疾風ロンド (実業之日本社文庫)

疾風ロンド (実業之日本社文庫)

  • 作者: 東野 圭吾
  • 出版社/メーカー: 実業之日本社
  • 発売日: 2013/11/15
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
ハラハラが止まらない! 書き下ろし長編ミステリー
強力な生物兵器を雪山に埋めた。雪が解け、気温が上昇すれば散乱する仕組みだ。場所を知りたければ3億円を支払え――そう脅迫してきた犯人が事故死してしまった。上司から生物兵器の回収を命じられた研究員は、息子と共に、とあるスキー場に向かった。頼みの綱は目印のテディベア。だが予想外の出来事が、次々と彼等を襲う。ラスト1頁まで気が抜けない娯楽快作。


オープニングはスキー関係なのですが、続いて大学の医科学研究所に舞台が移って、炭疽菌が盗まれて脅迫される、と。
その炭疽菌を隠した場所が、スキー場らしい。
脅迫犯が事故で死んでしまい、さて、なんとかして炭疽菌を見つけて回収しなければ。

この研究所のシーンが、えらく劇画調というか、戯画的というか、あまりにマンガチックなので、その後の展開も、本当なら炭疽菌を扱っているのですから、シリアスでサスペンスフルなはずなのに、なんだかマンガチックに感じてしまいました(と、こういう言い方をすると最近の漫画に失礼かもしれませんが)。

研究所の冴えない(失礼)研究員が、中学三年生の息子の助けを借りて捜索へ。
でも、スキーがうまく滑れなくて、結局、スキー場の監視員の手助けを借りることに......
息子は、スキー教室に来ていた地元の女子中学生と親しくなり......
一方で情報を嗅ぎつけて、炭疽菌を横取りして金にしようとする人もあらわれ......

物語はテンポよく進み、写真から炭疽菌のある場所を突き止めるのもわりとあっさり。そんなに簡単にいくかな? と思いますが、全体がマンガチックに仕立て上げられているから、あまり気になりません(というか、気にするのもどうかなぁ、と思えてしまう)。

周りの人を巻き込みながら、炭疽菌捜しに(とはいえ、作り話をして、そんなに危ないものだとは伝えずに、なんですが)てんやわんやする様子は、なんだか、シャーロット・アームストロングの小説みたいです。たとえば「毒薬の小壜」 (ハヤカワ・ミステリ文庫)とかね。

そうなんです。
現代風のガジェットがちりばめられて、スキー場という派手な舞台(派手、といっていいですよね?)ではありますが、要するところ、現代のお伽噺、なんですよね、きっと。
だからこそのこのラスト。
東野圭吾としては、やや書き飛ばした感がありますが、そのあたりも含めて狙い通りの作品なのではないでしょうか?
肩の凝らない娯楽作品として、さっとよめる作品です。





タグ:東野圭吾
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