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掟上今日子の備忘録 [日本の作家 な行]

掟上今日子の備忘録(文庫版) 忘却探偵(文庫版) (講談社文庫)

掟上今日子の備忘録(文庫版) 忘却探偵(文庫版) (講談社文庫)

  • 作者: 西尾維新
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2018/07/13
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
眠ると記憶を失う名探偵・掟上今日子(おきてがみきょうこ)。彼女のもとに最先端の映像研究所で起きた機密データ盗難事件の依頼がもたらされる。容疑者は4人の研究者と事務員・隠館厄介(かくしだてやくすけ)。身体検査でも見つからず、現場は密室。犯人とデータはどこに消えたのか。ミステリー史上もっとも前向きな忘却探偵、「初めまして」の第1巻。


西尾維新の本の感想を書くのははじめてですね。
西尾維新の本を読むのは、手元の記録を見ると、2006年8月に「きみとぼくの壊れた世界」 (講談社ノベルス)を読んで以来ですね。
戯言シリーズに夢中になった後、人間シリーズあたりから矢継ぎ早に新作を出す多作な西尾維新にちょっとついていけなくなった感じでした。また、ミステリ味も薄くなっていきましたしね。
久しぶりに西尾維新を手に取ったのは、探偵ものだったから、というのが大きいですね。
ただ、現段階でシリーズは第12作を数え、文庫化されているのも3冊もあります。
追いかけるのは無理かも......

第一話 初めまして、今日子さん
第二話 紹介します、今日子さん
第三話 お暇ですか、今日子さん
第四話 失礼します、今日子さん
第五話 さようなら、今日子さん

と5話収録という形ですが、第四話と第五話は一つの話なので、事件としては4つ。
帯に簡単に纏めてあって

Case1. 機密データ盗難事件 研究所解体の危機を救え。
Case2. 人気漫画家脅迫事件 百万円誘拐犯をとらえよ。
Case3. 原稿宝探しゲーム 大ヒット確実の原稿を捜索せよ。
Case4. ミステリー作家突然死事件 不審死の真相を解明せよ。

となっています。
翌日になれば忘れてしまうという掟上今日子の設定がキーとなっていることは間違いありませんが、容疑者として事件に巻き込まれやすい隠館厄介の設定もなかなかどうして重要な要素ですよね。
それぞれ、小粒ながらミステリファンの心をくすぐるネタが仕掛けてあるのがポイントですね。

帯のまとめに従って......
機密データ盗難事件は、バックアップデータの紛失(盗難?)という、どうやって見つけ出すんだ、という謎を扱っていて、真相はある意味脱力系って感じもするのですが、掟上今日子の目の付け処はなかなかこちらの心くすぐるものがあります。

人気漫画家脅迫事件は、百万円の札束を盗んだ犯人が、被害者に対して、札束を返してほしければ一億円払えと脅迫してくる、という事件で、しかも被害者である漫画家は一億を支払うという、もうこの設定だけで◎。

原稿宝探しゲームは、作家が隠した原稿を探すというものなのですが、これまたこの隠し場所はちょっとないなー、というものでしたが、掟上今日子と隠館との関係性という点でおやっと思わせてくれました。

最後のミステリー作家突然死事件は、なにより掟上の捜査方法がいくらなんでも無理、というか、ありえないものではありましたが、第四話、第五話と流れがいいことと、事件そのものよりも、これまた掟上今日子と隠館との関係性という点で注目ですし、掟上の設定についてのツイストも好感度大です。

これ、パターンが作りにくそうな設定ですが、さすがは西尾維新、やすやすと自分の設定したハードルを軽やかに跳躍してみせてくれました。
続巻、楽しみではあります。でも、もう12巻もあるのか......どうしよう!?



タグ:西尾維新
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