SSブログ

星籠の海 [日本の作家 島田荘司]

星籠の海(上) (講談社文庫)星籠の海(下) (講談社文庫)星籠の海(下) (講談社文庫)
  • 作者: 島田荘司
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2016/04/08
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
瀬戸内の小島に、死体が次々と流れ着く。奇怪な相談を受けた御手洗潔は石岡和己とともに現地へ赴き、事件の鍵が古から栄えた港町・鞆にあることを見抜く。その鞆では、運命の糸に操られるように、一見無関係の複数の事件が同時進行で発生していた――。伝説の名探偵が複雑に絡み合った難事件に挑む! <上巻>
織田信長の鉄甲船が忽然と消えたのはなぜか。幕末の老中、阿部正弘が記したと思われる「星籠(せいろ)」とは? 数々の謎を秘めた瀬戸内で怪事件が連続する。変死体の漂着、カルト団体と死体遺棄事件、不可解な乳児誘拐とその両親を襲う惨禍。数百年の時を越え、すべてが繋がる驚愕の真相を、御手洗潔が炙り出す! <下巻>


島田荘司の作品の感想を書くのは久しぶりですね。
2014年11月に感想を書いた「リベルタスの寓話」(講談社文庫)(感想ページへのリンクはこちら)以来ですね。
間の2018年に「写楽 閉じた国の幻」(上) (下) (新潮文庫)を読んでいますが、感想を書けずじまいになっています。

たっぷり楽しみましたよ、島田節。
と、言いたくなるような、ミステリー・大河ロマンって感じです。
ちょっと御手洗潔ものに求める本格ミステリとは違う結構になっていますが、これはこれで、あり、なんでしょうね。
なので、ミステリー・大河ロマン。
登場人物の脇筋とでも言いたくなるエピソードがあれこれ盛り込まれていまして、このあたりもそう感じさせる理由ですね。

解説によると、もともと映画化ありきで書かれた作品とのことで、そういう感じの見せ場が多いのはさすがというところですが、一方で、タイトルにもなっている星籠(せいろ)の謎は、それを突き止める過程は映像向きではないような気がしました。どう処理したんでしょうね、映画では? 最後では見せ場になるんですけどね。

星籠の謎も含め、個々のパーツは島田荘司にしては安易な感じのものが多く、むしろ鞆、福山を舞台としたご当地ものとして楽しむのがよいのでしょうね。
なによりもわりとキーになる活躍をする常石造船の会長って、実在の人物ですよね!? 映画にも出演されたのでしょうか? 
島田荘司の故郷を舞台に、ファンサービス、地元サービスたっぷりの大長編、というところでしょうか。

悪の総本山みたいな宗教団体の教主との対決、みたいな流れになっていくのですが(ある意味ネタバレですが、そもそもそういう風になることが容易に想像できるように書かれているので明かしてしまって構わないでしょう)、そのあたりも御手洗潔ものとしては異例というか、人によっては期待外れという感想になりそうなところですね。
シャーロック・ホームズも、そういう雰囲気の作品がありますし、そういえばエルキュール・ポワロにすらありましたね!、御手洗潔もそういう作品を経験しているということなのでしょう(笑)。

<2023.8.3追記>
「このミステリーがすごい! 2014年版」第9位
「2014本格ミステリ・ベスト10」第9位
です。

<蛇足>
毎度のことですが、一懸命が気になりました。
177ページでは連発されていて、とてもがっかり。

<蛇足2>
唖然とした顔つきで、黒田がまた問う。見れば、彼はすっかり気分を害している。身につまされてしまったというふうだ。(488ページ)
唖然、気分を害す、身につまされる、のつながりがわかりませんでした。こういう風に並び立つものでしょうか?

<蛇足3>
そういえば宮本武蔵、彼も関ヶ原の戦いに参戦していて、水野勝成の軍勢に入っているんですよ。(145ページ)
巌流小次郎の巌流が、岩流から来ているのだろう、というところの流れで書かれているのですが、知りませんでした。






nice!(17)  コメント(0) 
共通テーマ:

nice! 17

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。