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巡礼者パズル [海外の作家 パトリック・クェンティン]


巡礼者パズル (論創海外ミステリ)

巡礼者パズル (論創海外ミステリ)

  • 出版社/メーカー: 論創社
  • 発売日: 2020/07/16
  • メディア: 単行本

<カバー袖あらすじ>
従軍で精神を病んだダルースは一時的に妻アイリスと離れることを決意。それが功を奏して復調したダルースは、妻のいるメキシコへと発った。アイリスに新しい恋人がいるとも知らずに……。愛と金が絡み合う人間関係に否応なく巻き込まれていくダルース。愛する者のために奮戦する彼を待っている結末とは。本格ミステリ・ファン待望の<パズル・シリーズ>最後の未訳作、ついに登場。


「迷走パズル」 (創元推理文庫)(ブログへのリンクはこちら
「俳優パズル」 (創元推理文庫)(ブログへのリンクはこちら
「人形パズル」 (創元推理文庫)(ブログへのリンクはこちら
「悪女パズル」 (扶桑社ミステリー)(ブログへのリンクはこちら
「悪魔パズル」(論創海外ミステリ)(ブログへのリンクはこちら
に続くシリーズ第6作です。
論創海外ミステリ98。単行本です。
ピーター・ダルースもので、「パズル」とつく最後の作品になります。
完全なる余談、与太話ですが、せっかくだったら邦題を、巡礼者パズルではなく、巡礼パズルにしておいてもらえたら、漢字二文字+パズルで統一されてよかったのにな、なんて思いました。

「悪魔パズル」感想で、エピローグでのピーターとアイリスの会話に不安を感じたと書きましたが、不安的中、この「巡礼者パズル」の冒頭、アイリスとの仲が壊れていることが明かされます。
ああ~。ピーター可哀そうに。いいやつなのに。

舞台はメキシコでして、そこで、アイリスが想いを寄せるイギリスの作家マーティン(両想いです)、マーティンの妻サリー、マーティンの妹マリエッタ、それにどこか怪しげ?なジェイクが絡みます。
主要人物はこれだけで、ほぼこれだけの人間関係の中で物語は進行していきます。

ピーターが落ち込んでいるところに、人間関係がややこしく絡み合っていることもあり、非常に重苦しい雰囲気で話が進んでいきます。
メキシコという土地も、明るい中米という位置づけよりは、混沌の町、といった趣きで、その重苦しさに拍車をかけているみたいです。

この中で、くるくると多重解決のように疑わしい人物が変わっていくという趣向がとられていまして、ミステリとして大満足。
そして真相が、いわゆる「意外な犯人」(ネタバレとは言えないかも、と思いましたが、念のため伏字にします)の1パターンとなっていまして、これにも個人的にはいたく感心しました。ステキです。

ラストシーンも、これ、期待してもいいんですよね。
解説で飯城勇三が、次々作の「女郎蜘蛛」 (創元推理文庫)で、「本作で破局したはずのアイリスと、よりを戻しているのだ。」と書いてありますしね!
よかったよかった。

本書は飯城勇三の解説も素晴らしく、お勧めです。


<2020.10.27追記>
この作品、「本格ミステリ・ベスト10〈2013〉」第1位でした。
1位なのに書き漏らしていてすみません。


原題:Puzzle for Pilgrims
作者:Patrick Quentin
刊行:1947年
訳者:水野恵





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